ライフ&ハック

田舎に移住するときに気をつける事

仕事が無い

田舎では、そもそも仕事の数が少ないです。

高度な専門知識や経験があり、場所に縛られず独立して仕事ができるのであれば、それほど大きな問題にはなりません。しかし、特別なスキルや資格がない場合、基本的にはその町や周辺地域の求人情報に依存することになります。

地域によっては給与水準もかなり低く、事務職で月収12万円前後といった求人も珍しくありません。家賃や土地が安いとはいえ、車の維持費やガソリン代などを考えると、必ずしも「田舎だから生活費が安い」とは言い切れない部分があります。

某消耗云々氏が以前、「クラウドワークスやインターネットで仕事をすればいい!」と田舎移住を勧めていましたが、地域によっては通信環境そのものが問題になります。

筆者が住んでいた地域では、ADSLが通っているだけでもありがたく、Yahoo!のトップページを開くのに1分近く掛かるようなこともありました。ソフトバンクやauが圏外になる場所もあり、スマートフォンの通信さえ不安定でした。

現在は光回線やホームルーター、衛星インターネットなど選択肢も増えていますが、それでも移住前に通信環境を確認しておくことはかなり重要です。「ネットで仕事をすればいい」と思って移住したのに、そのネットがまともに使えない……ということもあります。

お店が無い

衣類や家具、家電などであれば、月に1回くらい街まで車で出れば何とかなるものです。今ならネット通販もあるので、昔に比べればかなり便利になりました。

しかし、最寄りのスーパーマーケットまで車で30分となると、毎日の生活は一気に大変になります。

ちょっと牛乳が欲しい、卵が切れた、夕飯のおかずを買い足したい――そんな都会では何でもないことが、田舎では往復1時間のドライブになることがあります。

そのため、近所の人たちは自然と「まとめ買い」や「冷凍保存」をする習慣が身についていたりします。大型の冷蔵庫や冷凍庫を持っている家庭も珍しくありません。

移住するのであれば、少なくとも「車で10分程度の場所にスーパーがあるか」「新鮮な野菜や魚、肉が買える店があるか」「ドラッグストアやコンビニはどこにあるか」などは調べておいたほうがいいです。

地図上では近く見えても、山道だったり冬場に凍結したりすることもあるので、実際に車で走って確認するのがおすすめです。

町内会のローカルルール

田舎暮らしで意外と重要なのが、町内会や自治会独自のローカルルールです。

よくあるのがゴミ出しに関するルールです。市町村が定めている公式ルールとは別に、その地区独自の決まりが存在することがあります。

「ゴミ置き場の掃除当番がある」「決められた時間より早く出してはいけない」「資源ゴミの日には立ち会いが必要」といった地域もあります。

都会のマンション暮らしに慣れていると、このあたりの距離感には驚くかもしれません。

地域によってはゴミの出し方を細かくチェックされたり、袋の中身を確認されたりするケースもあります。個人情報が書かれた郵便物などをそのまま捨てるのは、都会以上に注意したほうがいいでしょう。

都心の大規模マンションなどでは、他人が誰のゴミを捨てたのか気にすることはほとんどありませんが、人口の少ない地域では「誰が出したゴミなのか」まで分かってしまうことがあります。

うわさ話がある

「お隣の○○さんは○○でね〜」といった具合に、良くも悪くも人の話が広まりやすいです。

人口が少なく、人間関係が固定されている地域では、ちょっとした出来事でもあっという間に話が伝わることがあります。

特に目立つ人や、少し変わった仕事をしている人、多少お金がありそうに見える人などは、生活事情を詮索されやすい傾向があります。場合によっては、その話題が本人だけではなく子供や家族にまで及ぶこともあります。

筆者は田舎暮らしが長いのですが、その後、静岡のタワーマンションに住んだことがあります。

そこでは隣に住んでいる人の名前も職業も何も知りませんでしたし、友人・知人以外についての噂話を聞くこともほとんどありませんでした。

かろうじて聞いたのが、「最上階には○○の社長が住んでいるらしい」という程度。

都会では少し寂しく感じるほど人間関係が希薄ですが、その「他人から干渉されない気楽さ」も、実際に田舎と都会の両方に住んでみると大きな違いだと感じます。

大昔の話が大好き

60歳を過ぎた人たちの間でも、

「○○は小学生のときにションベン漏らした」

といった、本人からすれば「もう何十年前の話だよ」というような出来事を、ず〜〜っと覚えていて話題に出すことがあります。

「○○は昔、○○のことが好きだった」

「○○は中学生のころ、こんなことをした」

など、とにかく昔の話がよく出てきます。

ただ、これもある意味では仕方のないことなのかもしれません。

お店も少ない。レストランも少ない。遊ぶ場所も限られている。仕事で新しい人と出会ったり、新しいプロジェクトに挑戦したりする機会も、都会に比べれば少なくなりがちです。

さらに人間関係も何十年と固定されているので、自然と共通の話題が「昔の出来事」になっていきます。

都会なら毎年のように人間関係が入れ替わりますが、田舎では幼稚園から60代、70代まで同じメンバーということもあります。

そう考えると、数十年前の話が現在進行形で語られるのも、田舎ならではなのかもしれません。

長く住んでいる人が偉い

これは、おそらく全国の田舎である程度共通している部分だと思います。

基本的に、その土地に長く住んでいる人ほど発言力があります。

何代にもわたって住んでいる家が強かったり、町内会や地域行事で中心的な役割を担っている人の意見が優先されたりします。

一方で、新しく引っ越してきた人は「余所者」として扱われることがあります。

他県から移住してきた人ならまだ分かるのですが、極端なケースでは「隣町から引っ越してきただけ」「車で5〜10分の場所から移ってきただけ」でも余所者扱いされることがあります。

行政上は同じ市内なのに、その集落から見れば別の地域の人、という感覚です。

もちろん最近では移住者を積極的に歓迎する地域も増えていますが、昔ながらの人間関係が残っている場所では、町内の有力者や古くから住んでいる家の意見に影響を受けることがあります。

20代の場合、金曜日の夜に焦る

筆者は23歳のころ、森の中にあるような田舎に住んでいました。

そこで妙に意識するようになったのが「金曜日の夜」です。

田舎の夜は、基本的にものすごく静かです。

聞こえてくるのは虫の音、鳥の声、風で木が揺れる音、そしてまれに動物の鳴き声くらい。

人通りもほとんどありません。

静かに過ごしたい人にとっては最高の環境なのですが、20代だと突然、

「みんなが楽しく遊んでいる金曜日の夜に、オレは何をやっているんだろう……」

という謎の焦りに襲われることがあります。

筆者は20歳くらいのころ、麻布十番周辺でクラブの撮影などの仕事をしていました。そのため、金曜日の夜になると、都会の賑やかな光景を勝手に想像してしまい、余計にそう感じたのだと思います。

別に「都会に行って遊びたい!」という強い欲求があったわけでもありません。

それなのに、なぜか焦るのです。

若いうちは特に、「自分だけ社会から取り残されているのでは?」という感覚になることがあります。

2〜3年単位で友達ができない

田舎では、数年単位で新しい友達ができないことがあります。

筆者が住んでいたような地域では、村で「若者」と呼ばれるのが40〜50代ということもありました。

人口の50%以上が65歳以上という、いわゆる限界集落に近い地域です。

意外にも幼稚園児や小学生くらいの子供は“数名”いたりします。

しかし、高校進学あたりから街へ出る人が増え、大学進学や就職をきっかけに上京するため、10代後半から30代くらいまでの人口がごっそり抜け落ちています。

つまり、自分が20代だからといって、近所に同年代がいるとは限りません。

村の人たちとは普通に仲良くしていましたし、会えば世間話もしていました。

それでも、「休日に一緒に遊びに行く友達」のような存在は一向にできませんでした。

人間関係が嫌いだから田舎に行く、という人もいますが、逆に人との交流が欲しくなったとき、選択肢そのものが少ないという問題があります。

虫の大量発生

これはある程度想像できると思いますが、とにかく虫が多いです。

玄関、リビング、寝室、トイレ、お風呂……。

「どうやって入ってきたんだ?」という場所にまで、神出鬼没で虫が現れます。

網戸を閉めていても小さな虫は入ってきますし、玄関の開け閉めをした一瞬で侵入することもあります。

家の周囲が山や田んぼの場合、季節によって出てくる虫の種類も変わります。

虫が平気な人であれば「まあ田舎だし」で済みますが、虫が本当に苦手な人にはかなり辛い生活になると思います。

田舎暮らしに憧れて古民家を購入する人もいますが、古い家ほど隙間が多いため、この問題はさらに大きくなります。

平気でゴミを庭で燃やす(野焼き)

田舎で気になる習慣のひとつが、庭や田畑などで物を燃やすことです。

田んぼで藁や刈った草などを燃やしている程度であれば、

「あぁ〜、野焼きしてるなぁ〜」

と呑気に眺めていられることもあります。

問題なのは、地域や人によっては家庭ゴミまで一緒に燃やしてしまうケースがあることです。

プラスチックなどが混ざっていれば非常に臭く、独特の化学的なニオイが家の中まで入ってくることがあります。

窓を開けていたら部屋の中まで煙臭くなり、洗濯物にもニオイが付く。

煙がモクモクと流れてくる日は、それはもう最悪です。

もちろん家庭ゴミの焼却には法律上の規制がありますが、昔からの習慣として続いている地域もあります。

役所などに相談しても、地域によって対応にはかなり差があります。

都会ではほとんど意識しない「近所の煙」という問題も、田舎では住環境を左右する要素のひとつです。

男の子は消防団

地方では、男性はかなり高い確率で消防団に誘われます。

もちろん地域によって雰囲気はまったく違いますし、現在は昔ほど強制的ではない地域も増えています。

ただ、昔ながらの地域では消防団が単なる防災組織ではなく、地域コミュニティそのものになっていることがあります。

上下関係があり、集合が掛かったり、訓練や行事に参加したりする機会もあります。

仕事が忙しくても関係なく予定が入ることがあり、若い人にとって負担になる場合もあります。

ひどいケースでは、入団を断ると、

「お前の家が火事になっても行かないぞ!」

くらいのことを冗談半分、本気半分で言われることも……。

消防団そのものは地域防災に欠かせない大切な存在ですが、その土地の人間関係と強く結びついている地域では、「入る・入らない」が単純な個人の選択では済まない場合があります。

バスが1日に2本通っていたらラッキー

田舎では、そもそもバスが走っていれば幸いです。

1日に2本あればラッキー。

なにしろ、朝に街へ出て、その日のうちに帰ってこられるのですから。

都会に住んでいると「1時間に2本しかない」と不便に感じますが、田舎では「1日に2本」です。

しかも高齢化や人口減少によって、いつ路線が廃止・縮小されるか分かりません。

筆者が住んでいた静岡県内でも、採算だけを考えれば維持が難しいバス路線が数多くあります。それでも住民の生活インフラとして必要なので、自治体や地域がさまざまな形で路線を維持しています。

一方で、通常の路線バスが廃止され、「井川地区自主運行バス」のように地域や自治体主体の運行へ変わるケースもあります。

移住時点ではバスがあったとしても、「10年後も同じように走っている」とは限りません。

そのため、田舎では基本的に車が生活必需品になります。

最寄りの駅まで1時間以上

これも、いわゆる田舎あるあるです。

「最寄り駅」と言っても、車で1時間以上掛かる場合があります。

ようやく駅に到着しても、自動改札がない。

切符を箱に入れるタイプだったり、無人駅だったり、電車に乗るときもドア横のボタンを自分で押して開閉したりします。

最初は旅行気分で楽しいのですが、これが日常になると話は別です。

都会への移動も大変です。

駅まで車で1時間、そこからローカル線、さらに新幹線へ乗り換え……となると、東京に着くまでに海外旅行並みの時間が掛かることもあります。

「東京へ行くまでに、東京から海外へ行けるくらいの時間が必要なんじゃないか」と思うことさえあります。

田舎暮らしでは「駅から何分」ではなく、「高速道路のインターまで何分」「新幹線駅まで何時間」という感覚で考えたほうが現実的です。

交友関係が村単位である

田舎では、人間関係が個人単位というより「家」や「一族」単位になっていることがあります。

「誰々さんの家が本家で、あそこが分家」

「誰々さんが本家の跡継ぎ」

「○○さんと△△さんは昔から仲が悪い」

「婿を取って家を継いでもらった」

など、最初に聞いても何のことかまったく分かりません。

ところが、その地域に長く住んでいる人たちは、村内の人間関係をほぼ完全に把握しています。

誰と誰が親戚で、誰と誰が同級生で、どの家とどの家が仲が良く、どこ同士には昔から確執があるのか。

まるでアニメやドラマの「人物相関図」のようです……。

そして自分が誰かひとりと仲良くなると、知らないうちにその人の人間関係の中へ自分も組み込まれていきます。

都会では「この人はこの人」と個人単位で付き合えることが多いですが、小さな集落では人間関係がすべてつながっているため、この距離感に慣れるまで時間が掛かるかもしれません。

 

こんな感じで、田舎移住は思っている以上に難易度が高いです。

もちろん、田舎暮らしには良いところもたくさんあります。

静かですし、自然は豊かです。土地や家も都会に比べれば安いことが多く、庭で野菜を作ったり、広い家でのんびり暮らしたりすることもできます。

ただし、「自然が豊かでのんびりしていそう」というイメージだけで移住すると、現実とのギャップに苦労する可能性があります。

お金や貯金が十分にあって働く必要がない。あるいは場所に左右されない仕事を持っている。車の運転が苦にならない。食材をまとめ買いして保存する習慣がある。虫もそれほど気にならない。そして、人との距離が近い地域社会にもある程度なじめる。

こうした条件がすでに揃っていて、「田舎に家を建てて静かに暮らしたい」という目的がはっきりしているのであれば、非常に快適な生活になることもあります。

逆に、都会の便利さや人間関係の気楽さをそのまま残しながら、「自然だけ田舎にしたい」と考えると、なかなか難しいところがあります。

田舎移住を考えている人は、観光で1〜2回来るだけではなく、できれば何度か足を運び、スーパー、病院、通信環境、交通手段、町内会、近所の雰囲気なども確認してから決めることをおすすめします。

移住してから「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、良いところだけでなく、不便なところまで含めて知っておくことが大切です。

ぜひ参考にしてみてくださいね!