フレンチ レストランでのワインの頼み方【デートでフランス料理】

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ここ数日、急に「フレンチでのワインの頼み方」のアクセスが増えているので、初めてのフランス料理店でのワインの頼み方をおさらいしてみます。忙しい人のために結論から話すと、2人の場合は「ペアリングコース」4人以上の場合は「ボトルのオーダー」が最もお勧めできる選択です。なぜそうなのか?その理由について解説してみます。

日本のフランス料理店でペアリングやバイ・ザ・グラスが生まれた理由

デートでフレンチを訪れたときにワインに悩むのは自然なことです。というのも、フランス料理のコースはもともと家族単位で食事をすると、ワインがちょうど良く空けられるように計算されているからです。

ワインのボトルは750mlで、1人分のグラスは約125ml、つまり6杯取りするのが一般的です。6人であれば1人1杯ずつでぴったり、4人であれば誰かがお代わりをすればきれいに空きます。このように家族やグループ単位で飲むと、コース料理の1〜2品ごとにワインを1本ずつ空けることができるのです。

  • 普通のワイン 1本(750ml)= 約6人分(125ml×6)

  • ハーフサイズのワイン 1本(375ml)= 約2〜3人分

  • マグナムボトルのワイン(1500ml)= 約12人分

日本では家族三世代でフレンチに行ったり、友人カップルと連れ立って訪れたりすることはあまりありません。接待を除けば、多くの場合はデートで訪れるカップルや夫婦だけの利用が一般的です。そうなると、コース料理を通してワインを1本空ける形になってしまい、人数的にはぴったりでも料理との相性の面で不便が出てきます。

では、二人で行った場合はどうでしょうか。突き出しのアミューズから始まり、前菜のオードブル、魚料理や肉料理と、様々な味付けの料理が順に提供されます。こうなると、白ワイン1本だけでは肉料理に物足りず、逆に赤ワインだけでは前菜に合わないといった事態が生じます。

そこで日本のフランス料理店では、バイ・ザ・グラスのコース、いわゆる「ペアリング」を用意しているお店が増えてきました。ペアリングとは、料理に合わせて3〜6種類ほどの飲み物が順に提供されるシステムです。基本的にはシャンパーニュから始まり、白ワイン、赤ワインへと移っていきますが、前衛的な店ではお茶をアレンジしたノンアルコールドリンクや、軽いカクテルを途中に挟むこともあります。

一例を挙げると、コース料金が8,000円(6品)の場合、ペアリングが6,000円(6杯)で合計14,000円。それにサービス料と消費税を加えると16,940円になります。さらにチーズや食後酒などを追加すれば、二人でおよそ4万円前後の予算感になるのです。

バイ・ザ・グラスやペアリングのコースはお得?

二人で行く場合、ペアリングのコースはお得にワインを楽しむことができます。料理とワインに精通したソムリエが時間をかけて厳選したワインばかりですので、提供される料理に抜群に合うものがグラスで出てきます。

  • バイ・ザ・グラス = 1杯売りなので、自分の好きなものをその都度選べる

  • ペアリング = コース料理に合わせて、お店側がワインを選んで提供してくれる

このような違いがあります。できればペアリングでソムリエに任せたほうが、料理と相性の良い美味しいワインを味わえるでしょう。

一方でバイ・ザ・グラスの良い点は、「最後の肉料理にボルドーを1杯だけ飲みたいなぁ」とか「最初にプレステージシャンパンを1杯だけ楽しみたい」といった、ボトルを頼む余裕はないけれど少し特別感を味わいたい人に向いています。

ただし、ここにはちょっとした落とし穴があります。回転率の悪いワインだと、抜栓してから1〜2日以上経っていることもあり、希少なワインだからとオーダーしてみたら「あれ?酸っぱくない?」とか「思ったより美味しくない」と感じる場合があります。お店側はすべて売り切る前提で管理しているので、最初の1杯でも最後の1杯でも同じ金額で提供されるのです。最近では窒素ガスやアルゴンを使う「コラヴァン」と呼ばれるワインキーパーを導入する店も増えていますが、それでも抜栓後数日で味が大きく変わってしまうことがあります。

このため、バイ・ザ・グラスは必ずしもお得とは限りません。もし回転率の低いワインにあたってしまうくらいなら、すべてお任せのペアリングコースを利用したほうが、常に新鮮で料理に合ったワインを楽しむことができるのです。

公式サイトにワインリストが掲載されている事もあり大変役に立つ

彼女にカッコイイところを見せたい!!

「よく分からないけれど、彼女にカッコいいところを見せたい!」と思うのであれば、ワインリストを眺めるフリをして「白はシャルドネ主体の華やかなものを」「赤はカベルネ・ソーヴィニヨン主体の果実感のあるもの」と伝えればOKです。フランス料理店であれば必ずどちらも置いてあります。ソムリエが「こちらはいかがでしょうか?」と勧めてくるので、予算に問題がなければ素直に従いましょう。

どうしてもボトルをテーブルに置いてカッコつけたいのであれば、シャンパーニュのメニューを眺めながら「では、ボトルでボランジェのスペシャル・キュヴェを」と言えば見栄えします。おそらく半分くらいの確率で置いてあるはずです。名前に“スペシャル”と付いていますが普通のシャンパーニュで、店頭販売価格は6千円ほど。フランス料理店では1万5千円から2万円程度で提供されています。これを頼めば、すべての料理を黙々とシャンパーニュで通す“シャンパーニュ男子”になれます。赤ワインだと前菜に合わせるのが難しいですが、泡や白で通す人もいるので、まあ許容範囲でしょう。

最近では公式サイトにワインリストを公開している店もあります。事前に予算に合う銘柄を決めておき、自宅の鏡に向かって「そうだな〜、このプルミエ・クリュ コート・ド・レシェ」「そうだな〜、このプルミエ・クリュ コート・ド・レシェ」と10回ほど唱えて練習しておけば、本番でスマートに注文できるかもしれません(大嘘)。あるいは「このビンテージの作柄はどうですか?」と尋ねるなど、あらかじめ決め打ちしておくのも手です。ただし、ソムリエに「この人はマニアだ!」と思われてしまい、難しい説明が返ってくる可能性もあるので諸刃の剣です。

もしソムリエが「ヴィエイユ・ヴィーニュがどうたら」とよく分からないことを言ってきたら、「じゃあそれで」と答えればOKです。よほど極端でない限り、似たような価格帯・予算内で提案してくれるはずです。結果的にワインペアリングを2人前頼むのと大きな差がない場合もあるので、ボトルという選択肢も十分あり得ます。

ちなみに、ボトルワインを注文すると「ラベルを持ち帰る」という小技が使えます。メインディッシュの皿が下げられるタイミングまでに飲み終えておき、「エチケットを持ち帰っても良いですか?」とお願いすれば、色紙のような台紙に貼ってくれた記念品をもらえることがあります。もし彼女が初めて本格的なフレンチを訪れるのであれば、このお土産にうっとり……してくれるかもしれません。ただし、フレンチ初心者の女性はワインが飲めないことも多いので、これもある意味“童貞の妄想”かもしれません。

ごく稀に「持ち込みのワインボトルのエチケットを剥がして!」という女性もいますが、それは頼んではいけません。必ずお店で開けたボトルのエチケットをお願いしましょう。

ぱっと見では無料サービスに思えますが、一口(1カケラ)1,000円〜とおぼえておくと会計で驚かずに済みます。

むしろ食後酒で差をつけろ!?

カッコつけるのであれば、ワインはすべてソムリエに任せて、チーズと食後酒にこだわるのも一つの方法です。ワゴンが運ばれてきたら、チーズを2〜3種類取り分けてもらい、ハチミツを添えてもらいましょう。そのタイミングで「食後酒をお持ちしますか?」とほぼ必ず聞かれるので、ソーテルヌ、あるいはシェリーやポートワインを頼むと上級者らしく見えます。チーズやフルーツを楽しむときには、貴腐ワインや酒精強化ワインが定番です。どれも甘口なので飲みやすいですが、ポートやシェリーは発酵香が強めなので、女性と一緒ならソーテルヌを選ぶとよいかもしれません。

最後にコーヒーとプティフール(小菓子)が出てきますので、そのときに「マール・ド・ブルゴーニュ」や「マール・ド・シャンパーニュ」、あるいはブランデー(コニャックやシェリーブランデー)を頼むと非常にカッコよく決まります。店によっては1960年代から2000年頃までのブランデーが手頃な価格で飲めることもあり、60年代の希少なブランデーでも1杯2,000〜3,000円程度で楽しめるはずです。(※もちろん、もっと高級な店だったらごめんなさい。)

もし彼女の誕生日や記念年があれば、それを指定して「その年のヴィンテージを」と頼むのもキザな演出です。(※喜ばれるかどうかは自己責任ですが。)

コレは儂の家

間違っても、絶対の絶対にウイスキーを注文してはいけません。フランス料理であればマールやブランデー、イタリア料理であればグラッパかダークラムが外さない選択肢です。イタリア料理の場合、食後にリモンチェッロを気に入ればサービスで出してもらえることも多く、こちらもまた少し難しい選択になります。

本格的なフランス料理はコースで2〜3時間は平気でかかります。彼女はおそらく、その時点で早く自宅に帰ってインスタグラムのストーリーの反応を確認し、Twitterに写真を投稿したいはずです。そこでスマートにお会計を済ませましょう。

ただし、もし彼女が“1000人に1人もいない”とされる修行を積んだ熟練者であった場合、その先は第2ラウンド「シガーバー」に突入することになります。男であれば、そこで迷わずマデューロ(濃い色合いの葉巻)のチャーチル(大ぶりのサイズ)を頼み、従業員に「そろそろ…」と声を掛けられるまで、ハードリカーとニコチンの世界に没頭するのが粋というものです。

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