コンビニに立ち寄ったとき、ふとレジ横に並ぶ紙巻きたばこの値段を見て「こんなに高くなったのか」と驚いたことはありませんか?
ここ数年でたばこの価格はじわじわと上がり、いまや1箱600円以上する銘柄が当たり前になりました。
例えば、代表的な銘柄を見ても:
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マルボロ … 600円
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ピース … 600円
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メビウス … 580円
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かつて「格安たばこ」の代名詞だったわかば … 500円
という状況です。
さらに、吸える場所は年々減少しており、職場に喫煙所がないケースも少なくありません。こうした中で、いま喫煙を続けている人は一体どれくらいの費用を負担しているのでしょうか。今回は「平均と中央値」という統計データをもとに、喫煙コストを具体的に計算してみます。

消費の平均値と中央値
平均的な喫煙本数
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、喫煙者の平均的な1日の喫煙本数は14〜15本程度とされています。
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男性高齢層ではやや多く、女性や若年層では少ない傾向
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「1日1箱=20本」というイメージが強いが、実際は1箱未満の人も多数
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このため「毎日必ず1箱」ではなく、「1日半箱から3/4箱」という人が典型的
つまり、統計的に見れば「20本/日=1箱」という人はむしろ少数派だということです。
月あたりの箱数換算(平均値ベース)
1日平均14〜15本 = 約0.7〜0.75箱
これを月30日で計算すると:
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月21〜23箱(約420〜460本)
となります。
中央値の場合
平均値だけでなく、**中央値(真ん中の値)**をみると、より実態に近い姿が見えてきます。
統計によると、喫煙本数の中央値は1日10〜15本程度です。
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10本/日 → 0.5箱/日 → 月15箱
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15本/日 → 0.75箱/日 → 月22〜23箱
この範囲の真ん中をとると、月18〜19箱が中央値のイメージになります。
つまり、「平均的な喫煙者」は月2カートン弱(18〜19箱)を消費していると考えられます。
いくら掛かるのか?
では、実際の金額に換算してみましょう。
仮に中央値にあたる月19箱を、1箱600円で購入すると:
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月 … 11,400円
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1年間 … 136,800円
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10年間 … 約140万円
という計算になります。
たばこは「毎日の小さな出費」ですが、積み重なると車の購入費や海外旅行資金に匹敵する金額になります。
さらに金銭面だけでなく、口腔がん・咽頭がん・肺がんなどのリスクも高まるため、健康面での負担も大きいと言えるでしょう。
禁煙すると何が買えるのか?
もし禁煙に成功したら、その浮いたお金でどんなことができるでしょうか。
月1万円強を別の用途に回すと、かなり幅広い選択肢が見えてきます。
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週1回、ちょっと贅沢なランチやディナー(約3000円×4回=1.2万円)
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月に5〜10回タクシーに乗れる(1回1000〜2000円程度)
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30代であれば、死亡保険1000万円クラスの終身保険に加入可能
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年に1回、台湾や韓国への海外旅行費用に充てられる
こうして置き換えてみると、「たばこ代を他の楽しみに変える」という考え方はとても現実的です。
都内では喫煙者が激減
さらに、社会環境の変化も見逃せません。
東京都内では喫煙できる場所が大幅に減少し、路上喫煙禁止区域も拡大しています。
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喫茶店 … 数年前までは当たり前のように喫煙可能でしたが、現在は「喫煙目的店」に限られるケースが多い
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飲食店 … 改正健康増進法の影響で、原則屋内禁煙
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路上 … 多くの区で条例により禁止区域を設定
こうした背景から「吸いたくても吸えない」状況が広がっています。

隠れて建物の隙間で吸う私の友人
喫煙者に対するイメージの変化
喫煙者への社会的評価も時代とともに変化しています。
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若い世代(20代女性):過半数が「たばこ嫌い・くさい」
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30〜40代女性:一部に「たばこ=男らしい」という印象も残るが、加熱式の「においが嫌」と感じる人が増加
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恋愛要素:非喫煙者の女性が増えているため、恋愛・婚活の場でマイナスに働くケースが目立つ
このように、昔の「大人の嗜み」というイメージは薄れ、むしろデメリットのほうが目立ちやすいのが現状です。
歴史的に見る「たばこ値上げの流れ」
ここで少し、値上げの歴史を振り返ってみましょう。
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2000年代前半 … 1箱250〜300円前後が一般的
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2010年10月 … 大幅増税で約100円値上げ(メビウス:300円→410円)
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2020年 … 健康増進法の改正・税制改定で500円台に突入
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2025年現在 … 主流銘柄は580〜600円前後
この20年で、たばこの価格はほぼ2倍以上になっています。つまり、昔は「ちょっとしたお菓子」と同じ感覚で買えていたものが、いまや「お昼の定食」に相当する出費になっているのです。
健康リスクと経済リスクの二重負担
喫煙者にとって負担は「経済面」だけではありません。
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医療費の増大:喫煙習慣はがん・循環器疾患・慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの原因となりやすく、医療費がかさみます。
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寿命の短縮:厚労省の統計では、喫煙者は非喫煙者に比べ平均で約10年寿命が短いという報告もあります。
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生活の制約:吸える場所が少なくなることで、行動範囲や人間関係に制約が出ることも少なくありません。
このように、お金と健康の両面でマイナスが積み重なるのが、現代の喫煙事情です。
そろそろ辞めるのが賢明かもしれません
ここまで見てきたように、たばこ代は月1万円以上・年間13万円以上という大きな支出につながっています。
さらに喫煙所の減少、社会的評価の低下、健康リスクなどを考え合わせると、喫煙を続けることのコストは年々重くなっています。
一方で、禁煙すれば旅行・保険・食事・移動など多様な楽しみにお金を回すことができます。
「たばこをやめたら何を楽しむか?」という視点で考えると、禁煙は単なる我慢ではなく、むしろ人生の選択肢を広げる投資とも言えるでしょう。


