クルマ

BMW F80 M3のDCTオイル&デフオイル交換

信じられないくらい暑い日が続いていますが、皆さん体調はいかがでしょうか。

この一年間コツコツと愛車をメンテナンスしてきたのですが、ついに以前から気になっていたDCTオイルを交換してきました。また、せっかくなのでデフオイルも同時に交換してもらいましたので、そのレポートを書きたいと思います。

F80型M3や先代E92型M3には、それぞれ特徴的なトランスミッションが採用されています。E92は7速M DCT、F80は改良型の7速M DCT(ダブルクラッチトランスミッション)です。DCTは日産GT-Rやフェラーリ、ポルシェなど多くのハイパフォーマンスカーにも採用されてきた方式で、あらかじめ次のギアを準備しておくことで、変速時間を非常に短くできるのが大きな特徴です。ATのようなスムーズさとMTのようなダイレクト感、さらに駆動ロスの少なさを両立した非常に優れたシステムとして、2000年代後半から2010年代半ばにかけて多くのスポーツカーへ採用されました。

一方で、低速や渋滞時にはギクシャクしやすい特性があり、さらに近年はトルクコンバーター式ATの性能が飛躍的に向上しました。特にZF製8速ATは変速速度・効率・耐久性とも非常に高く、燃費や乗り心地も優れているため、現行G80型M3ではDCTではなく8速ATが採用されています。

「ライフタイムオイル」と言われるDCTオイル

BMWではDCTオイルを基本的に「ライフタイムフルード」と位置付けており、通常のメンテナンス項目には定期交換が設定されていません。そのため、一度も交換せず乗り続けているオーナーも少なくありません。

しかし私のF80は2014年式の初期型。さすがに12年間一度も交換されていないオイルを想像すると、金属摩耗による微細な鉄粉や熱による劣化も進んでいるはずで、どうしても精神的に気になっていました。

実際、最近は低速で少しギクシャクすることがあり、特に冷間時に走り始めた直後、1速付近で軽くガタつくような感覚もありました。SNSでMオーナーのアンケートなどを見ても、「交換した派」と「交換していない派」がちょうど半々くらいに分かれており、絶対に交換すべきというものではありませんが、私は長く乗り続けたいので交換を決断しました。

また、デフオイルも交換歴が不明だったため、このタイミングで同時交換をお願いしました。

スタディで交換を依頼

DCTオイル交換を調べると対応できるショップは意外と少なく、本格的に作業を行う専門店ではオイルパンを取り外し、内部洗浄やフィルター交換まで含めたリフレッシュメニューを用意しているところもあります。そのような内容になると16万~20万円程度かかるケースもあり、もはやオイル交換というよりオーバーホールに近い作業です。

私はそこまでの予算はかけられなかったため、BMW専門店のスタディへ依頼しました。

今回の費用は、DCTオイル交換とデフオイル交換を合わせて71,500円。決して安い金額ではありませんが、DCT本体の修理費用を考えれば、予防整備としては納得できる価格だと思います。

普段お世話になっている整備工場へお願いすることも考えましたが、DCTは専用診断機による油温管理や作業手順が重要で、作業後には必要に応じて学習値のリセットや適応値の初期化を実施する場合もあります。その点、スタディは毎日のようにMモデルが入庫している専門店なので、経験値という意味でも安心感がありました。

今回初めてスタディへ入庫しましたが、店内はディーラーのように非常に清潔で広々としており、待合スペースも快適でした。展示車も充実していて、「BMW 3.0 CSL」のような希少モデルや、BBS FI-Rなどハイエンド鍛造ホイールも展示されており、BMW好きなら見ているだけでも楽しめる空間です。カーボンパーツやアクセサリー類も豊富で、待ち時間も退屈しませんでした。

受付の方の対応も非常に丁寧で、作業時間は約1時間半ほど。自宅からは2時間近くかかるため頻繁には通えませんが、Mモデル特有の整備については今後もお願いしたいと思えるショップでした。

交換後の変化は予想以上

ネットでは「DCTオイルを交換しても体感できない」という意見も見かけますが、私の場合はかなり違いがありました。

まず感じたのは、車が驚くほど軽くなったことです。大げさではなく、100kgくらい軽量化したような感覚で、発進時の動き出しが非常に軽快になりました。交差点で減速してから再加速する場面でもレスポンスが軽く、車全体がスッと前へ出ていく印象です。

デフオイルについては峠などを走ったわけではないので断言はできませんが、リアの接地感が以前より安定したような感覚がありました。これは新しいデフオイルの効果なのか、あるいは心理的な要素もあるかもしれませんが、安心感は確かに増しました。

DCTオイルの変化はさらに分かりやすく、アクセルを離した時の減速感が以前より自然になりました。エンジンブレーキそのものが弱くなったわけではありませんが、駆動系の抵抗感が減ったような印象で、停車までの転がりが非常に滑らかになりました。

また、毎朝必ず通る交差点で、冷間時に発生していた低速域のガクガクした挙動もほとんど感じなくなりました。新品オイルの効果に加え、必要に応じて実施された適応値のリセットなども影響している可能性はありますが、少なくとも以前より低速域のフィーリングは確実に改善しています。

交換して良かった

7万円を超えるオイル交換は決して安くありません。しかし、これが毎年必要な整備ではありませんし、今後また長期間安心して乗れると考えれば、私は十分価値のあるメンテナンスだったと思います。

もちろんBMWが交換不要としている以上、「絶対に交換すべき」と言うつもりはありません。ただ、日本のようにストップ&ゴーが多く、渋滞も多いうえ、近年は真夏の猛暑も続く環境を考えると、長く乗る予定であれば一度くらい交換しておくのは十分意味があると感じました。

私個人としては、新車から10年前後、あるいは走行距離5万~8万km程度で一度交換しておけば安心感も大きく、その後も長く気持ちよく乗り続けられるのではないかと思います。今回の交換で、改めてF80 M3という車の完成度の高さを実感できたメンテナンスでした。