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BMW 4シリーズ グランクーペはどう?

※この記事は、初代BMW 4シリーズ グラン クーペ(F36)が日本で発表された2014年当時の情報をもとに再構成しています。価格、グレード、装備、燃費は現在の4シリーズとは異なります。写真は3シリーズです。

BMW 4シリーズ グラン クーペ発表

新型4シリーズ クーペが発売されてから約半年。2014年2月には4シリーズ カブリオレが発表されましたが、今度は4ドアモデルとなる「BMW 4シリーズ グラン クーペ」が登場しました。

日本では2014年5月21日に発表され、同年6月21日からBMW正規ディーラーで販売が始まりました。クーペ、カブリオレに続く、4シリーズ第3弾のモデルです。

それまでBMWのグラン クーペといえば6シリーズでしたが、よりコンパクトな4シリーズにも4ドアモデルが加わりました。クーペらしい低く伸びやかなスタイリングを大きく崩さず、後席への乗り降りや荷物の積み込みといった実用性を高めたモデルです。

なお、BMWは「4ドア・クーペ」と呼んでいましたが、後部には独立したトランクではなく、大きく開くテールゲートが採用されています。形状としては、セダンとクーペ、ハッチバックの長所を組み合わせたような一台です。

出典:BMW Group PressClub Japan「ニューBMW 4シリーズ グラン クーペを発表」

クーペのデザインと4ドアの実用性を両立

4シリーズ グラン クーペの全長、全幅、ホイールベースは、基本的に2ドアの4シリーズ クーペと同じです。一方、ルーフの最も高い位置はクーペより12mm高く、ルーフラインは後方へ112mm長く伸ばされています。

以前の文章では「全長が112mm伸ばされた」と書いていましたが、正確には全長ではなく、ルーフラインが112mm長く設計されています。この長いルーフによって、クーペらしい流れるようなシルエットを保ちながら、後席のヘッドルームを広げています。

サイドウインドーにはサッシュレスドアが採用され、Bピラーもガラス面に溶け込むようなデザインです。ドアが4枚になっても、一般的なセダンとは違うクーペらしい雰囲気が残されています。

ラゲージルームの容量は480リットルで、2ドアの4シリーズ クーペより35リットル大きくなっています。後席のバックレストをすべて倒すと、最大1,300リットルまで拡大できます。

3シリーズ グランツーリスモほど荷室の広さを優先したモデルではありませんが、家族での旅行やロングドライブにも十分対応できる容量です。スタイリングを大きく犠牲にせず、これだけの荷物を積めることが、グラン クーペの大きな魅力だと思います。

オートマチック・テールゲートも標準装備され、スマート・オープナー機能を使えば、荷物で両手がふさがっているときでも、リヤバンパー下へ足を動かすことでテールゲートを開けられます。単にドアを2枚追加しただけではなく、日常での使いやすさまで考えられています。

日本では420i、428i、435iを導入

2014年の日本導入時には、ガソリンエンジンを搭載する420i、428i、435iが用意されました。海外ではディーゼルモデルやマニュアルトランスミッションも展開されましたが、日本仕様は全車8速オートマチックです。

モデル エンジン 最高出力 最大トルク トランスミッション
420i グラン クーペ 2.0L 直列4気筒ターボ 184ps 270Nm 8速AT
428i グラン クーペ 2.0L 直列4気筒ターボ 245ps 350Nm 8速スポーツAT
435i グラン クーペ 3.0L 直列6気筒ターボ 306ps 400Nm 8速スポーツAT

420iと428iは、どちらも2.0リッター直列4気筒ターボを搭載していますが、出力はそれぞれ184psと245psで、かなり大きな差があります。

435iには、BMWらしい3.0リッター直列6気筒ターボが搭載されています。最高出力306ps、最大トルク400Nmという性能で、滑らかな回転感と力強い加速を求めるのであれば、やはり435iが魅力的です。

さらに420iには、インテリジェント4輪駆動システムのxDriveも設定されました。これはBMWのクーペ系モデルとして、当時初めて用意された4輪駆動モデルです。420i xDriveは2014年9月から納車が始まる予定と案内されていました。

4シリーズ グラン クーペの燃費

日本仕様のJC08モード燃費は、420iが16.4km/L、428iが15.2km/L、435iが12.7km/Lと発表されました。

モデル JC08モード燃費
420i グラン クーペ 16.4km/L
428i グラン クーペ 15.2km/L
435i グラン クーペ 12.7km/L

以前のE92型335iクーペに乗った経験から考えると、3.0リッター直列6気筒ターボを搭載する435iで12.7km/Lというカタログ値は、当時としてはかなり良好に感じました。

新しい4シリーズには、アイドリングストップ機能やECO PROモードも採用されています。ECO PROモードでは、高速走行中にアクセルを離すとエンジンとトランスミッションを切り離し、惰性で走行するコースティング機能も利用できます。

ただし、JC08モードの数値と実際の燃費は、道路状況や速度、気温、タイヤ、乗車人数などによって変わります。「丁寧に運転すれば必ずカタログ値を1~2割上回る」とまではいえませんが、高速道路を一定速度で走る場面では、予想以上に燃費が伸びる可能性はありそうです。

なお、以前掲載していた420dや428dなどの燃費は欧州仕様の数値で、日本導入時のラインアップとは異なります。日本仕様の記事として分かりやすくするため、今回は日本で正式発表されたガソリンモデルの数値に統一しました。

馬力と加速性能

各モデルには、ツインスクロールターボ、高精度ダイレクトインジェクション、ダブルVANOS、バルブトロニックを組み合わせたBMWツインパワー・ターボ・エンジンが搭載されています。

欧州仕様の8速オートマチック車における0-100km/h加速は、420iが約7.6秒、428iが約6.0秒、435iが約5.2秒と公表されていました。装備や駆動方式、市場ごとの仕様によって数値は変わりますが、おおよその性能差を知る目安にはなります。

モデル 最高出力 0-100km/h加速の参考値
420i グラン クーペ 184ps 約7.6秒
428i グラン クーペ 245ps 約6.0秒
435i グラン クーペ 306ps 約5.2秒

E92型335iの後期モデルも、仕様によって0-100km/h加速は5秒台でした。そのため435iについては、数字だけを見ると劇的に速くなった印象まではありません。

ただし、新型では燃費、安全装備、トランスミッションの効率、ボディ剛性などが総合的に改善されています。単純な加速タイムよりも、速さと日常性をどこまで両立したかという点に進化が表れているように思います。

3シリーズとどの程度違って見えるのか

発表当時、実車を見る前に少し気になったのが、F30型3シリーズ セダンとの差別化でした。4シリーズ クーペであれば2ドアという明確な違いがありますが、グラン クーペは同じ4ドアです。正面から離れて見ると、3シリーズと大きく変わらないのではないかと思ったのです。

しかし、グラン クーペには長く緩やかに下がるルーフライン、サッシュレスドア、大きく開くテールゲートがあります。全高を抑えた横からの姿を見ると、一般的なセダンとは違うクーペらしさが感じられます。

特に、4枚のサッシュレスドアと一体感のあるガラスエリアは、このクルマのデザインを特徴づける部分です。6シリーズ グラン クーペよりもボディがコンパクトなので、ドアやウインドーの見え方が少し窮屈にならないか気になるところですが、実際の評価は実車を見てから判断したいと思います。

4シリーズ グラン クーペの価格

日本発売時の価格は、420i グラン クーペの516万円から、435i グラン クーペ M Sportの803万円まででした。以下は2014年5月の発表時点における、主な後輪駆動モデルの価格です。

モデル トランスミッション 希望小売価格(税込)
420i グラン クーペ 8速AT 5,160,000円
420i グラン クーペ Luxury 8速AT 5,590,000円
420i グラン クーペ M Sport 8速AT 5,570,000円
428i グラン クーペ 8速スポーツAT 6,270,000円
428i グラン クーペ Luxury 8速スポーツAT 6,700,000円
428i グラン クーペ M Sport 8速スポーツAT 6,680,000円
435i グラン クーペ 8速スポーツAT 7,660,000円
435i グラン クーペ Luxury 8速スポーツAT 7,870,000円
435i グラン クーペ M Sport 8速スポーツAT 8,030,000円

420iと428iの標準モデルには111万円の価格差があります。同じ2.0リッター直列4気筒ターボでも、出力やトランスミッション、装備内容が異なるため、単純に同じエンジンとはいえません。それでも価格を重視するのであれば、184psを発揮する420iは十分に魅力的です。

428iと435iの標準モデルでは139万円の差があります。BMW伝統のストレートシックスを楽しみたい人にとって、435iは特別な存在ですが、800万円前後という価格になると、ほかのモデルも視野に入ってきます。

6シリーズ グラン クーペとも比較したくなる

当時の640i グラン クーペは、3.0リッター直列6気筒ターボを搭載していたため、エンジン構成では435i グラン クーペに近いモデルでした。

640i グラン クーペの価格は1,024万円。435i グラン クーペ M Sportの803万円と比較すると、差額は221万円です。もちろん221万円は小さな差ではありませんが、435iへオプションを追加していくと、6シリーズも比較対象として見えてきます。

モデル トランスミッション 当時の希望小売価格(税込)
435i グラン クーペ M Sport 8速スポーツAT 8,030,000円
640i グラン クーペ 8速スポーツAT 10,240,000円
650i グラン クーペ 8速スポーツAT 13,270,000円

ただし、6シリーズは車体が大きく、タイヤや消耗品を含めた維持費も高くなります。新車保証があっても、すべての維持費や損耗品が無条件で補償されるわけではありません。駐車場の大きさや普段の使い方まで含めて考える必要があります。

それでも435i グラン クーペを検討するのであれば、一度640i グラン クーペにも試乗し、見積もりを比較してみる価値はありそうです。4シリーズの扱いやすさを取るか、6シリーズの余裕や高級感を取るか、悩む時間もBMW選びの楽しさだと思います。

DCTではなく8速スポーツATを採用

4シリーズ グラン クーペは、最上位の435iを含めてDCTを採用せず、8速スポーツATを搭載しています。M3やM4のような変速時の鋭い感触を期待している人は、試乗してフィーリングを確かめたほうがよいでしょう。

一方で、この8速ATは変速が速く、低速走行では滑らかで、長距離移動にも向いています。グラン クーペが本格的なサーキット走行よりも、日常での快適性とスポーティーさの両立を目指したモデルだと考えれば、8速ATは車の性格に合った選択です。

当時のAudi A5 Sportbackにはデュアルクラッチ式のSトロニックを搭載する仕様もあり、変速機の違いは比較するうえで興味深いポイントでした。ただし、DCTだから常に優れているというわけではなく、滑らかさ、耐久性、低速域の扱いやすさを含めて、自分の用途に合うものを選ぶべきだと思います。

クーペを諦めたくない人のための4ドア

4シリーズ グラン クーペは、3シリーズ セダンの実用性と、4シリーズ クーペのスタイリングを組み合わせたモデルです。純粋なクーペほど割り切った形ではありませんが、後席へ人を乗せることがあり、荷物も積みたい。それでも一般的なセダンでは少し物足りないという人には、よく考えられた選択肢だと思います。

420iなら価格と燃費のバランスがよく、428iには余裕のある動力性能があります。435iでは、BMWらしい直列6気筒エンジンを楽しめます。同じボディでも、どのグレードを選ぶかによって性格が大きく変わるのも面白いところです。

発表資料だけでも実用性の高さは伝わってきますが、最終的に重要なのは、3シリーズとは違う特別感を実車から感じられるかどうかです。外観や後席の広さ、運転したときの印象については、実際の車を見てから改めて詳しく書きたいと思います。