凧揚げの記憶

コラム
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みなさんは、凧揚げをしたことがありますでしょうか。
おそらく40代以上、あるいは50代以上の方であれば、子どもの頃に空き地で凧揚げをした記憶がある人も多いのではないかと思います。

私は30代後半ですが、幼い頃に何度か、祖父と一緒に凧揚げをして遊んだ記憶があります。正月になると外に出され、凧揚げをしたり、今思えばとてもシンプルな遊びをしていました。

当時はiPhoneどころかスマートフォンもなく、携帯電話はまだ03から始まる番号の時代です。インターネットも一般的ではなく、テレビゲームをたくさん持っている家庭も今ほど多くありませんでした。
だからこそ、正月は質素な遊びでも、1時間以上かけてコツコツ挑戦し、風に乗せて凧が上がった瞬間の達成感を、今でもはっきり覚えています。

凧揚げを知らない世代が増えている

一方で、最近の若い世代、たとえば10代から20代の人たちに聞くと、凧揚げを経験したことがある人は、かなり少ないのではないでしょうか。あくまで感覚的な話ですが、2〜3%、多く見積もっても5%に届かない気がします。

地方であればまだしも、都会になるとその割合はさらに下がると思います。東京には、自由に凧揚げができるような広い空き地や公園が、かなり限られています。
神奈川や埼玉、千葉などに行くと、比較的ゆったり整備され、子ども同士の距離が大きく取れる公園もありますが、それでも東京寄りのエリアでは少数派です。

正月の公園で見かけた、懐かしい光景

私は以前、お正月といえば初売りやデパートのセールに出かけることが多かったのですが、昨年は少しゆったり過ごしたくて、近所の大きな公園を散歩しました。

すると、なんと正月に凧揚げをしている人がいたのです。

二人の子供が揚げていました。もしかすると兄弟かもしれません。風に乗って30メートルほどは上がっていたでしょうか。勢いよく空に舞う凧を見て、ひどく懐かしい気持ちになりました。

ぱっと見たところ、お父さんは私と同じ30代くらい。関東でも、まだこうして凧揚げをして遊んでいる人がいるのかと、しみじみ感じました。
ただ逆に言えば、正月の広い公園でも、凧揚げをしている人はほんの2人。子ども全体で見れば、もはや0.1%未満なのかもしれません。

三百年続いた遊びの、その先で

凧揚げはもともと、古代中国で軍事目的や儀式に使われていたものだそうです。日本には7世紀ごろに伝わり、最初は貴族や宮廷文化の中で扱われていました。
子どもの遊びとして広まったのは江戸時代、紙の大量生産が可能になってからで、お正月に子どもの健やかな成長を願って凧を揚げる文化が定着しました。つまり、正月の遊びとしては300年以上の歴史があります。

しかし、私たちの世代が、もしかすると「最後に凧揚げを楽しんだ世代」になるのかもしれません。これからの子どもたちは、寒い中で凧を揚げるより、Nintendo Switch 2でマリオカートをした方が楽しいと感じるでしょう。

そう考えると、文化の終わりに立ち会っているとも言えます。
少しだけ、しんみりとした気持ちになりますね。

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