Twitterで見かけた “謎のWi-Fiアクセスポイント” が面白かった話
先日、Twitter(現X)で非常に興味深い投稿を見かけました。

同じAPを並べて設置するの、どういう意味があるんですかね?
どうせだったら、2カ所に分散して付けたい。
吹いているSSIDが別で、業務用と公衆用とかなのかな。 pic.twitter.com/p50SoIwfei— 通信機械室担当 (@t1uuSTKogUBeM95) November 23, 2025
壁に取り付けられた Wi-Fiアクセスポイントが2台、まったく同じ形で横並びになっている のです。
ぱっと見ると、「コピペしたのかな?」「左右で全く同じ機材を張り付けたの?」と不思議な印象を受けます。
タイムラインでは多くの人が理由を推測しており、
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ゲスト用と管理用でSSIDを分けている
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最大接続数が足りないから2台使っている
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管理者が別なのでAPが2系統ある
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有線LANの口がそこにしかないから
といった様々な意見が飛び交っていました。
その中で一つ、明確に「決定打」と言えるコメントがありました。
片方だけ “電源ON” になっているという鋭い指摘
写真をよく見ると――
ACアダプターの上の 黒い突起(電源ボタン)に違いがある のです。
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左側(AP1)…ボタンが押し込まれていて電源ON
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右側(AP2)…ボタンが出ていて電源OFF
つまり、
2台のうち、片方だけが稼働している。もう片方は完全に停止している。
この時点で “コピペのように見える2台構成” の謎は一気に深まり、逆に「これは意図的だ」と分かります。
この状態から導き出せる答えは
“コールドスタンバイ(cold standby)” 構成
現場のネットワーク設計ではよく使われる冗長化方式で、予備機を隣に “完全に同じ状態” で設置しておき、必要になったらすぐ切り替えるというものです。
写真をよく見ると、2台とも
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LANケーブルが挿さっている
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ACアダプターも用意されている
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配線も整理されている
つまり、「いつでも稼働可能な状態」で丁寧に準備されています。
コールドスタンバイとは何か?
最大の目的は 迅速な復旧(MTTRの最小化)コールドスタンバイとは、予備機を配置しておき、
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通常は 電源OFF(非稼働)
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障害発生時だけ ONにして切り替える
という運用方式です。メリットは非常にシンプルで強力です。
(1)障害時に“即座に”復旧できる
Wi-Fi APが故障すると原因追求が必要になります。
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本体の故障?
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電源アダプタの不良?
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LANケーブル断線?
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設定ファイル破損?
現場でこれを調べるのは大変です。
特に飲食店・店舗・会議室などでは、Wi-Fiが止まるとその瞬間に業務が止まる 場合もあります。
しかしコールドスタンバイなら、電源を ON にする → ケーブル差し替え → 即復旧これだけで数分以内にサービスを再開できます。
(2)同じ機材・同じ設定だから “完全互換”
APの設定もSSIDもパスワードも、
すべて事前に複製しておけます。
故障した瞬間に新しい機種を買いに行って設定する…
という非効率な作業が不要になります。
(3)予算や機材選定を“後回し”にできる安心感
機材が壊れると、人・予算・意思決定が絡み、
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どのモデルを買うか?
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いまの在庫があるか?
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新モデルと互換性があるか?
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設定をどう移行するか?
など非常に面倒です。
しかしコールドスタンバイを置いておけば、
とりあえず復旧だけ確実にして、後日ゆっくり考えられます。
写真が“コールドスタンバイ”に見える理由
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2台が完全に同じ位置・同じ高さに並ぶ
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配線が綺麗で、2台とも即使える状態
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AP1のみ電源ON、AP2は完全OFF
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ラベルも AP1 / AP2 と明確化
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ACアダプタも両方準備済み
「予備として用意しているなら分かるけど、普通わざわざ壁に固定しないのでは?」
と思う方もいるかもしれませんが、これは業務用ではむしろ合理的 です。
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電波の最適位置が既に決まっている
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ケーブル長も施工済み
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スタッフが迷わず切り替えられる
という理由で、並べて固定 が最適解になるケースは多いです。
他業界にもある「コールドスタンバイの考え方」
ネットワークの世界だけの話ではありません。
プロのカメラマン
常に同じ機材の 予備ボディを現場に持ち込む
→ 本番中に故障しても即交換して撮影継続
VIP輸送(大統領専用車など)
大統領車列では “同じ車が2台以上” 用意され、
一方はダミー/一方は予備として運用されます。
これはコールドスタンバイというよりホットスタンバイに近いですが、
「予備を用意することでリスクを最小化する」 という思想は同じです。
同じ機材が2台並んでいたら “コールドスタンバイ” を疑う
今回のTwitterの写真は、まさにその典型例でした。
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片方だけ電源ON
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両方の配線が完了
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同じ設定で即切替可能
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現場の運用が止まらない
という構成は、実務ではとても理にかなっています。
Wi-Fi一つとっても、「止められないサービスをどう守るか?」という設計思想が現れた、とても興味深い事例でした。



