カップラーメンの味が変わった?あっさり新しくなった!

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普段は「美味しんぼ」の海原雄山よろしく、料理や食材にあれこれ文句をつけて悦に入っている私ですが、そんな私も人間です。料理が面倒な日や、どうしても時間がないときは、こっそりとカップラーメンに手を伸ばしてしまうことがあります。高尚な美食家を気取っているつもりが、実態はインスタント麺に助けられるインチキ野郎なのです。

思い返せば私とカップラーメンの関係はかなり古いもので、13歳の頃にさかのぼります。当時、家に誰もいない夕方に、自転車で近所のセブンイレブンへ。爽健美茶とシーフードヌードルを買って帰り、ひとりでこっそり食べるのが最高のごちそうでした。あの「自分だけの秘密の幸福感」は今でも鮮明に覚えています。湯気が立ちのぼるカップから立ち上る香りに包まれながら、ハッピー!と小さく叫びたくなるほどの充足感がありました。あの頃の私は間違いなく「カップヌードルの虜」だったのです。そして今こうして大人になっても、やっぱり食べてみると美味しい。安藤百福さん、本当にありがとう、と心から感謝したくなります。

昔ながらの醤油味のイメージ

私が記憶しているカップヌードルの「醤油味」は、とにかく力強いものでした。濃いめの塩気と、田舎のラーメン屋を思わせる分厚い化学調味料の味。スープをひと口すすれば舌に「ドンッ」とくる強烈な旨味と油分。いわば“これぞカップラーメン”という象徴的な味わいです。工事現場で汗を流す人たちが昼休みに一気にかき込む姿が似合うような、そんなガツンとした男らしい味。

しかし、先日ふと懐かしさにかられて、数年ぶりに「カップヌードル 醤油味」を手に取った私は驚くことになりました。

開封から感じた違和感

お湯を注ぐ前、すでに小さな違和感を覚えました。容器を手に取ったとき、ペコッと軽く凹んでしまったのです。「あれ? こんなに薄かったかな?」と。昔のカップヌードルの容器は厚みがあり、多少力を入れて握っても潰れることなどありませんでした。それが、今のものは指の力で簡単に凹んでしまう。ここにもコストカットの影が忍び寄っているのだと気づかされます。

そしていざお湯を注ぐと、鼻先をかすめる香りにまた驚かされました。昔は立ち上る香りといえば「油と化調の混じった食欲直撃型」だったのに、今の醤油味からはトマトのような酸味を帯びた香りが漂ってくるのです。数秒で「あれっ?」と気づくほどの違い。私は3分の待ち時間を、少しばかりの不安を抱えながら過ごしました。

実食、そして衝撃

いざ、3分後。ふたを開けて麺をほぐし、すすってみると……そこにはかつての味とはまったく異なる世界が広がっていました。

まずスープの油分が驚くほど軽い。昔は「安い油が舌にまとわりつく」ような粘度すら感じられたのに、今のスープはあっさりとしていて、ゴクゴク飲めるほど。胃にもたれる重たさが大きく軽減されています。

次に感じたのは化学調味料の“厚み”の消失。以前は「旨味の壁」が舌の上に分厚く立ち上がっていたのですが、今のスープはその壁がすっと取り払われたかのようにクリア。代わりに前面に出てくるのが、鶏ガラの香りです。ひと口すすって「おお、鶏だ!」と思わず声に出したほど。まるで街の中華屋のあっさり醤油ラーメンを再現したかのような仕立てに変わっていました。

そして具材の代表格「謎肉」にも変化が。かつては塩気が濃く、噛むと化調がジュワッとにじみ出る“正体不明だけど中毒性のある肉片”でした。今の謎肉は塩分が抑えられ、より本物の肉に近い自然な風味へ。口当たりも優しく、全体のバランスに寄り添う存在へと変貌しています。

誰のための味か

ここで少し考えました。この味の変化を、世間の人々はどう受け止めるだろうか、と。

私の予想では、肉体労働をして汗を流す人々、あるいはがっつり塩気を求める若者にとっては、以前の濃厚でジャンクな味のほうが好まれるでしょう。ガツンとくる塩気と油こそが「カップヌードルらしさ」だったからです。

一方で、家庭で小腹を満たすために食べる人や、夜食として軽く口にしたい人にとっては、今の“あっさりカップヌードル”のほうが心地よい。健康志向や味覚の変化を考えれば、こちらの方向性のほうが現代的とも言えます。

つまり、新しい醤油味は「万人受け」「家庭寄り」に舵を切ったのだと思います。本物の醤油ラーメンに近づいたとも言えるのですが、同時に“昔ながらのカップヌードル”に期待している人にとっては少し物足りなく感じるでしょう。

インフレと時代の味覚

ではなぜこんな変化が起きたのか。ひとつにはインフレやコストダウンの影響があるでしょう。原材料費や容器の材質が値上がりするなか、メーカーはどうしても改良を余儀なくされます。

もうひとつは、現代人の味覚の変化です。外食産業の多様化や健康志向の高まりにより、塩分や油分を控えめにした「優しい味」が好まれるようになりました。その流れを反映し、国民食ともいえるカップヌードルも変化せざるを得なかったのでしょう。

それでもやっぱり好き

正直に言えば、私は昔のカップヌードルの濃い味が恋しいです。あの“体に悪そうな美味しさ”が、どうしても忘れられない。しかし同時に、今のあっさり味を食べても「これはこれで美味しい」と素直に思ってしまうのも事実です。

時代が変われば食べ物も変わる。カップヌードルもまた、私たちの生活に寄り添いながら進化を続けているのでしょう。昔の味を知る人間としては少し寂しい気もしますが、それでもやっぱり「ありがとう」と言いたい。これからも何十年先までも、カップヌードルが私たちの食卓にあり続けてほしいと願うばかりです。

みなさんもぜひ、久しぶりに「カップヌードル 醤油味」を食べてみてください。そして、昔の記憶の味と比べながら「変わったなあ」としみじみ味わってみるのも一興ではないでしょうか。

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