1万キロ乗って決断。憧れのカワサキZ900RSを売却しました

クルマ
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カワサキのZ900RSを売却して、バイク生活を一旦やめることにしました。

2021年にずっと憧れていたこのモデルを購入しましたが、数年後に手放す決断をしました。

私は昔からカワサキ一筋で、16歳の頃にZRX-2(400cc)に乗り始めてから、ゼファー750RS、ゼファー1100、そして2015年にはZRX1200 DAEGと、90年代以降のカワサキ・ネイキッドばかりを選んできました。ところが、DAEGを降りてからは「これだ」と思えるバイクに出会えず、しばらくブランクの時期がありました。

そんな中でZ900RSが登場します。初めて目にしたときの衝撃はいまでも鮮明で、Z1やZ2を思わせるクラシカルなデザインにモダンなエッセンスを加えたスタイルは、まさに自分が求めていたものでした。

ただ当時は仕事も環境も落ち着いておらず、すぐに購入に踏み切ることはできませんでした。それでも「いつかは欲しい」という気持ちはずっと心の中に残り続け、2021年にようやくリターンライダーとしてバイクに戻る決意をしました。

納車された日の喜びは格別で、休日に少し遠出をしたり、街中を流すだけでも「やっぱりカワサキいいな」と思わせてくれる存在でした。ただし現実的には、思ったほど距離は伸びず、売却するまでの総走行距離は約1万キロ。昔のように毎日のように乗ることはできず、少しずつ“持て余す感覚”も芽生えていきました。


スタイリングと走行性能

まずデザインについて。これは今見ても惚れ惚れするほど美しいと思います。

Z1やZ2の系譜を感じさせる丸目ライトやタンク形状、そこに現代的なエッセンスを加えて余計な部分をそぎ落とし、軽快でありながら迫力もある姿。純正マフラーの造形も野暮ったさがなく、ノーマルで十分に完成されたデザインでした。ホイールの造形も社外品のように精悍で、特にカスタムをしなくても「所有する満足感」が得られるスタイリングだったと思います。

次に走行性能。これは正直、想像以上でした。ベース車両はスポーツモデルのZ900なので、サスペンションやエンジンのキャラクターはかなりスパルタンです。クラシカルな見た目に反して、アクセルをひとたび全開にすると身体が置いていかれるような加速を見せます。私はこれまで合計でかなりの台数のバイクに乗り継ぎ、総走行距離も長いのですが、それでもZ900RSは「怖くてフルスロットルにできない」バイクでした。

トラクションコントロールを切るとパワーに振り回され、峠で少し無理をするとすぐに滑り出すほどの性能。これはもはや“ネイキッド”というカテゴリで語れるものではなく、完全にリッタースーパースポーツに近い走行性能を持っています。

その反面、乗り心地は硬めで、長距離では腰や背中に疲労が溜まりました。標準装備の倒立フォークは剛性が高く、峠道では鋭い切れ込みを見せるのですが、街乗りでは「硬すぎる」と感じることも少なくありませんでした。ちょっとした段差でも衝撃が強く、昔のゼファーやZRXシリーズのような“緩さ”とはまったく違う乗り味。

30代のリターンライダーとしては、このスピード感覚に適応するのが難しく、「これは自分にはオーバースペックすぎる」と思うこともありました。


関東での生活環境の壁

売却を決断するもう一つの大きな理由が「関東でのバイク環境の悪さ」です。

静岡に住んでいた頃は本当に恵まれていました。駐車場はどこにでもあり、山も川も海も近く、ちょっと時間が空いたらそのまま走りに行ける。自転車の延長のように大型バイクを日常的に使える環境でした。

しかし関東に来てからは一変。まず「走れる場所」に行くまでが大変です。自宅近くにワインディングはなく、山に行くにはまず高速道路に乗る必要があります。ETCの入口まで移動して、混雑した高速を抜けてから、ようやく走れる山道に辿り着く。これだけで片道1時間以上かかり、昼過ぎには道も混むので朝早く出発しなければなりません。帰りはまた渋滞に巻き込まれる。これでは昔のように「気軽にひとっ走り」とはいきませんでした。

さらに駐車場問題。静岡時代は大型バイクをどこにでも停められるような雰囲気があり、特別に駐輪場を借りる必要もほとんどありませんでした。しかし関東のマンションにはまずバイクを置くスペースがなく、あっても非常に高額。私は一時期、二駅離れた場所にある駐輪場を契約し、そこまで電車でヘルメットを抱えて通っていました。これでは乗る前から「面倒だな」と感じてしまい、結局月に数回しか乗らない状況に。

加えて、都心部ではバイクで出かけても駐車場が確保できるかどうか分からないという不便さがあります。渋谷や新宿には一応バイク用のコインパーキングがありますが、利用者が多く埋まっていることが多い。「停められるか分からないからバイクでは行かない」となり、せっかくのZ900RSも持て余すことになりました。


手放す決断とこれから

最終的に手放した理由はシンプルで、

  1. 関東という環境では気軽に走れる場所が少なく、駐車場問題も深刻。

  2. バイク本体が高性能すぎて、私の年齢やライフスタイルでは持て余した。

この二つに尽きます。

決してバイク自体に不満があったわけではなく、むしろ完成度は非常に高く、デザインも性能も素晴らしいものでした。故障やトラブルもなく、メンテナンス性も良好でした。それでも「環境」と「ライフスタイル」に合わないと、どれほど優れたバイクも楽しめなくなるというのを実感しました。

とはいえ、憧れだったZ900RSにしっかり乗り切れたという満足感もあります。もしかしたら今後、再び小排気量のミニバイクに戻るかもしれませんし、あるいは年齢を重ねてからもう一度大型に乗りたくなるかもしれません。再びハンドルを握る日は来るのかどうかは分かりませんが、「納得するまで乗れた」という点では後悔はありません。

これからバイクに乗ろうと考えている人には、ぜひ「住んでいる場所や日常の生活スタイルに合うかどうか」を考えてみてほしいです。特に関東や都市部に住んでいる人は、置き場所や出かける環境が整っているかを事前にチェックしておくことをおすすめします。

そして地方に住んでいて自由に走れる環境がある方や、速いバイクを存分に楽しみたい方には、Z900RSは間違いなく素晴らしい相棒になると思います。

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