世界で34,677台、日本にわずか830台。BMW F80 M3セダンの生産台数を徹底解説

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なかなか語られることのないBMW F80 M3の生産台数について予想してみます

BMW M3といえば、歴代モデルがモータースポーツの血統を反映した名車として知られています。その中でF80型M3は、2012年に登場したF30型3シリーズをベースに、2014年から2018年にかけて生産された6代目M3セダンです。

わずか6年という短いライフサイクルで生産終了となりましたが、それにはいくつかの理由があります。環境規制の強化や後継となるG80型の開発スケジュールが詰まっていたことが大きく影響しました。

M3の中でもセダンボディはM4クーペよりも生産台数が少なく、世界的にも希少性のあるモデルとなっています。今回「F80 M3セダンは世界で何台生産され、日本にはどれほど輸入されたのか」をテーマに、現存する統計や信頼度の高い資料をもとに推定していきます。BMW Japanが正確な数を公表しているわけではありませんが、海外の詳細な生産台数データや、日本市場のBMW全体シェアを掛け合わせることで、かなり精密な数字を導くことができます。


世界のF80 M3生産台数(2014–2018)

まずはグローバルの総生産台数を整理してみましょう。これはBimmerpostなどで公開された公式に近い集計データから引用しています。

  • F80 前期(2014–2015年):7,594台

  • F80 後期 LCI(2016–2018年):25,820台

  • F80 CS(限定モデル):1,263台

  • 合計:34,677台

ここで注目すべきは、後期モデルが全体の約75%を占めている点です。
前期はわずか7,500台強で、F80 M3全体から見るとかなり少数派となります。さらにCSは限定1,263台で、そのうち右ハンドルはわずか211台しか存在しません。


日本のBMWシェアを使った推定

次に、この世界総数から日本への割り当てを推定します。
BMW全体の日本市場シェアは2014〜2019年平均で約2.4%、年度ごとでは2.16〜2.52%の間に収まっています。このため推定では 2.2〜2.6%レンジ を採用します。

この比率をF80 M3の34,677台に掛けると、日本に導入されたのは 約832台(レンジ763〜902台) となります。つまりM3は日本全体で800台前後しか存在しない計算です。

さらにF82 M4クーペ(世界57,391台)とF83 M4カブリオレも同様に計算すると、日本にはM4クーペが約1,340台(レンジ1,230〜1,460台)、M4カブリオレが約480台(レンジ440〜520台)導入されていたことになります。これらを合計するとM4は約2,660台(レンジ2,440〜2,890台)

日本での比率は「M4クーペ最多 → M3セダン → M4カブリオレ最少」という順序になります。


日本に入ったF80 M3の内訳

では、日本に導入されたおよそ830台のF80 M3セダンは、どのような構成だったのでしょうか。推定値をさらに分解してみます。

  • 前期(2014–2015年):≈182台

  • 後期+CS(2016–2018年):≈650台(うちCS ≈20台、右ハンドル配分を考慮)

  • トランスミッション:6MT ≈30台、DCT ≈800台

  • ルーフ仕様:CFRP ≈729台、サンルーフ ≈103台

  • コンペティションパッケージ:500〜541台(全体の約60〜65%)

  • 非コンペティション:291〜332台(約35〜40%)

こうして見ると、日本のF80 M3は「DCT+カーボンルーフ+コンペティション」の組み合わせが最も一般的だったことが分かります。一方で、6MTやサンルーフ仕様は非常に希少です。


日本に入ったF82 M4クーペの内訳

ついでにM4の台数も紹介します。
日本に導入されたおよそ1,300〜1,400台のF82 M4クーペは、どのような構成だったのでしょうか。F80 M3同様、世界生産データと日本市場シェアを掛け合わせ、右ハンドル配分や限定モデルの割り当てを考慮して推定していきます。

F82 前期(pre-LCI):≈22,233台、F82 後期(LCI):≈28,171台、F82 M4 CS:≈3,000台(推定値、実際は≈2,995台)、F82 M4 GTS:≈803台(世界限定)、F82 M4 DTM Champion Edition:≈200台(世界限定)
この合計で ≈57,391台。

日本に来たと予想される台数は

  • 前期(2014–2015年):≈500〜580台

  • 後期(LCI、2016–2018年):≈620〜730台

  • M4 CS:≈40台(公式発表)

  • M4 GTS(世界803台限定):≈30台(公式発表)

  • M4 DTM Champion Edition(世界200台限定):≈5台(公式発表)


こうして見ると、日本のF82 M4クーペは「LCIモデルが約半数、前期と後期でほぼ均等」という構成でした。さらに、CSやGTS、DTMといったスペシャルモデルは合計でおよそ100台弱しか入っておらず、その希少性が際立ちます。

特にM4 GTSやDTMは、ほとんどがディーラー顧客向けに割り当てられたと考えられ、市場に出回ることは極めて稀です。一方でCSは70台前後と、希少でありながらも時折中古市場で見かける程度には存在していると推測されます。

また、トランスミッションは基本的にDCTが中心で、6MTは北米中心のため日本導入はほぼ皆無。ルーフ仕様もカーボンが大多数を占め、サンルーフ装着車はごく少数と見られます。


数字に隠れたニュアンス

単純に「世界生産台数×日本シェア」で計算すると正確そうに見えますが、実際にはもう少しニュアンスがあります。たとえばM3 CSは全世界で1,263台ありますが、そのうち右ハンドルは211台しかなく、日本に導入されたのはおそらく20台程度に限られます。

また、サンルーフ仕様は全体で12.4%ですが、日本市場ではカーボンルーフ志向が強いため、実際のサンルーフ比率はさらに低く、50〜60台程度しか存在しない可能性もあります。

一方でコンペティションパッケージは後期モデルの約58%に装着され、実際にはF80 M3の6割以上がZCP付きだったことが分かります。つまり、日本に入ってきたM3の大多数は「コンペティション+カーボンルーフ」という仕様であり、逆に非コンペティション仕様は数百台に過ぎません。


まとめ

以上のデータを総合すると、日本に導入されたF80 M3セダンは 合計約830台前後
内訳は前期180台、後期650台、その中に含まれるCSはわずか20台程度という非常に小さな数字になります。さらにトランスミッションやルーフ、パッケージの組み合わせを考えると、特定の仕様は数十台規模しか存在しないことも珍しくありません。

M4クーペやカブリオレを含めてもF8xシリーズの日本導入は2,600台程度。世界全体の11万台と比べればごくわずかであり、街中で滅多に見かけないのも当然といえるでしょう。

よくTwitterで「この仕様が欲しい!」と投稿されている「後期M3コンペティション × アルピンホワイト × DCT × 黒内装」みたいな仕様は、以上の統計からすると日本にわずか50台程度と推定されます。実際に中古市場に現れる頻度はごく限られています。

F80 M3はターボ時代の始まりを象徴する一台であり、同時にBMWがまだ「Mらしさ」を色濃く残していた最後の世代とも言われます。こうした数字の裏側を知ると、日常で目にするF80 M3がいかに限られた存在か、そして「自分の一台」が世界全体の中でどれほど貴重かを実感できるのではないでしょうか。

参考:分析技法について(メモ)

結論(日本・正規新車導入の最有力推定)
•F80 M3:≈ 830台(最確値 832台)※レンジ(2.2–2.6%適用):763–902台
•計算根拠:34,677台 × 2.4% = 832.248 → 832台。世界総数34,677台は、米16,057/加1,104/RoW LHD 8,771/RoW RHD 8,745、CS 1,263、LCIのZCP 14,969、MT 5,426(=15.6%)等の公式集計に基づく。 
クロスチェック(妥当性の検証)•RoW RHDプール=8,745台に対し、日本推定832台が意味する取り分は約9.5%(832 / 8,745)。
→ RHD主要国(UK・日本・豪州・南ア・香港/シンガポール等)での配分としてUKが最大シェア、日本が約1割弱という内訳は、各国のBMWブランド規模感(例:UKのBMW年間販売は2016年182,593台、2018年172,048台)と整合的。
•よって、「日本≈830台」は、世界総数×日本持分のトップダウン推定と、RHDプールからのボトムアップ検算の双方に整合。
日本向けの内訳(推定・数字厳守)年次フェーズ別(前期/後期/CS)
•前期(2014–2015):世界7,594台 ⇒ 日本≈182台(21.9%相当)
•後期+CS(2016–2018):世界27,083台 ⇒ 日本≈650台(78.1%相当)
•CSのみ(世界1,263台/RHD 211台):日本≈20台(RHD内での日本取り分≈9.5%で按分)(世界の区分・台数は一次集計に拠る。) 
トランスミッション
•6MT比率(RoW基準 3.54%) → 日本の6MT ≈ 29–32台(中心値≈29.5)
※世界全体は6MT 15.6%(5,426/34,677)だが、北米偏重。RoWは**3.54%**が実測。 
ルーフ(サンルーフ vs CFRP)
•世界比率:CFRP 87.6%(30,387/34,677)/サンルーフ 12.4%(4,290/34,677)。
→ 日本推定:CFRP ≈ 729台/サンルーフ ≈ 103台。 
Competition Package(ZCP)
•世界のLCIに占めるZCP比率=約58%(14,969/25,820)。
•日本は嗜好上**ZCP比率やや高め(60–65%)**とする保守的仮定により、→ ZCP ≈ 500–541台、非ZCP ≈ 291–332台(合計≈832)。 
ボディカラー(日本補正を反映)
•アルピンホワイト:世界30–35%に対し**日本は35–40%**を採用
→ AW ≈ 291–333台(※世界実測:AW 4,950台=最多級)。•参考(世界傾向):Black Sapphire 6,111台/Mineral White 4,093台/Yas Marina 3,937台 等。 
まとめ(数字で一枚に)
•日本のF80 M3(正規・新車導入)=最有力 832台(レンジ 763–902台)
•内訳(推定):
•前期 ≈182台 / 後期+CS ≈650台(うちCS ≈20台)
•6MT ≈29–32台/DCT ≈800台前後
•ZCP ≈500–541台/非ZCP ≈291–332台
•CFRPルーフ ≈729台/サンルーフ ≈103台
•アルピンホワイト ≈291–333台
根拠データ(世界総数・市場配分・MT/DCT・CS/ZCP・カラー内訳)は一次集計の公開値に依拠。日本の“持分”はJAIAとBMW公式年計から導いた**2.4%(レンジ2.2–2.6%)**を乗じたもので、WLTPによる2018年の打ち切り影響も平均化の範囲内。一次値の詳細は下記を参照。 
参照(一次統計の要点)
•F80総数 34,677台、米16,057/加1,104/RoW LHD 8,771/RoW RHD 8,745、CS 1,263、LCIのZCP 14,969、6MT 5,426(15.6%)、カラー内訳(AW 4,950/BS 6,111 ほか)。 
•英国のBMWブランド年計(検算用):2016年 182,593台/2018年 172,048台。 
この結論(≈832台)
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