BMW M3 (F80) レビュー|M4との比較と日常使用インプレッション

クルマ
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新型BMW M3(M4)が発売されてから、早いもので2年が経過しました。(※執筆当時)中古車市場でも少しずつ価格がこなれてきており、購入を検討する人にとっても現実味が増してきた時期だと思います。BMW好きにとってMモデルはやはり特別な存在であり、街中で見かけるだけでも思わず目で追ってしまう、そんなオーラを放っています。

今回、幸運にもBMW M3を数日間日常で使用する機会を得ることができました。加えて、以前にサーキットでM4を全開走行させた体験もあるので、その両方を踏まえた感想をお届けしたいと思います。

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M3はスポーツカーではなくレーシングカー?

昨年、富士スピードウェイにおいてM4で全開走行を経験しました。そのとき感じたのは、M4が持つ圧倒的なパフォーマンスと、精緻に作り込まれた運動性能の素晴らしさでした。そして今回M3を日常で使ってみて強く思ったのが、「これはもはやスポーツカーではない!」ということです。

たとえば、同じベース車両である435iや335iをスポーツカーと呼ぶのであれば、M3やM4は完全にレーシングカーの領域に入っていると感じます。走りを「楽しむ」というよりは、明確に「タイムを削り出すため」にチューニングされた仕様といった印象です。


圧倒的なダイレクト感と遊びの少なさ

M3/M4はドライバーの技量があることを前提に設計されているため、操作系に「遊び」がほとんどありません。アクセルは極めてダイレクトに反応し、ハンドルの応答性も非常に高い。さらにタイヤの限界を最大限に活かせるようにセッティングされており、一般的なスポーツカーにあるような“余裕”がありません。

実際、少し峠でペースを上げて走ってみても、タイヤがスキール音を立てることなく、まるで吸い付くように曲がっていきます。そのため「楽しい」というよりは「ただただ速い」という印象が強く、クルマがドライバーの技量を凌駕してしまう分、かえって楽しさが薄くなってしまうのです。


公道では持て余す性能

富士スピードウェイで時速200キロ以上でコーナーを駆け抜けられるクルマですから、公道でその性能を発揮する機会はほとんどありません。むしろ、その能力の大部分を常に持て余してしまうと言っていいでしょう。

その点では、335iや435iといったモデルのほうが「遊び」が多く、峠を少し速いペースで楽しむには適しています。限界がどこにあるか分かりやすいので、「これ以上は危険だな」と感覚的に把握しやすい。M3やM4では相当なドライビングスキルがなければ、その境界線を見極めることができません。

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BMW Mは高級車ではない!

BMWのディーラーで営業マンと話をしていると、

「お金に余裕がある方でも、Mモデルを選ばずに最上位モデル(440iや550iなど)をフルオプションにする方も多いんですよ〜」

といった話を耳にすることがあります。

以前の私は「予算があるならMにすればいいのに!」と単純に思っていました。

ところが実際にM3やM4に乗ってみると、その理由がよく分かるようになったのです。


レーシングカーゆえの日常とのギャップ

先ほど述べたように、Mはレーシングカーに近い存在です。騒音、振動、遮音性、走行性能――そのすべてがベースモデルとはまったく異なります。

まずエンジンを掛けた瞬間から「ゴゴゴゴ……」と、まるで改造マフラーを装着したかのような大きな音が響き渡ります。もちろん車好きにとっては最高の瞬間ですが、毎日の買い物や旅行のたびにこの音に付き合うとなると、時にうるさく感じる場面も出てくるでしょう。


RX-7を思い出すような激しい振動

さらに驚かされるのが振動です。私はかつてマツダRX-7に数年乗っていましたが、その挙動を思い出させるほど細かく反応します。道路の継ぎ目や段差を走ると、まるでハンドルと地面が直接つながっているかのようにビリビリと伝わってくるのです。

これによって路面状況を的確に感じ取り、スポーツ走行では大きな武器になります。しかし日常的には、細かな揺れが積み重なり確実に疲労へと変わります。


遮音性の欠如と疲労感

振動と同時に外部からの騒音も大きく入ってきます。軽量化のため遮音材が減らされており、時速100kmで走る高速道路では周囲の音が過剰に耳に届きます。加えてサスペンションが非常に硬いため、2〜3時間のドライブを終えた頃には、体がすっかり疲れ切ってしまうのです。

ハーマンカードン製の高級オーディオが装備されてはいましたが、遮音性の低さゆえに音量を大きくしなければ音楽が聞こえず、逆に余計な疲労につながる結果となりました。


高級車=Mではない理由

こうしてみると、「お金に余裕があるならMモデルが最適!」という単純な図式は成り立ちません。

むしろ、通常モデルの最上位車種をフルオプションで仕立てるという選択肢にも十分な価値があると実感しました。

Mは確かに特別な存在であり、圧倒的な走行性能を誇ります。しかしそれは同時に“快適な高級車”というイメージから大きく離れており、日常で求められる快適性や静粛性とは真逆の方向にあるのです。

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長距離ドライブは確実に5/6/7シリーズがお勧め

日本の高速道路を法定速度+α程度で走るのであれば、Mモデルよりもむしろ5シリーズ以上のノーマルモデルの方がお勧めできます。特にあまり人気が高いとは言えない6シリーズや7シリーズは、実際に乗ってみると驚くほど優秀で、1日で1000キロ以上を走るような超長距離ドライブでもほとんど疲労を感じません。

実際、年末に東京から九州までを1日で走破した経験がありますが、そのときの疲労感は、Mシリーズで山道をドライブしたときよりも圧倒的に少なかったのです。


運動性能とツーリング性能は対極

ここで実感したのは、運動性能(タイムの速さや限界性能)とツーリング性能(疲れにくさや快適さ)はまさに対極にあるということです。どちらが優れているという話ではなく、選ぶときには「自分がどちらの性能を求めているのか」を明確にして判断するのが良いでしょう。


Mをセカンドカーにするという贅沢

あるいは、Mモデルを“セカンドカー”として割り切るのも大いにアリだと思います。

例えば、1台目に街乗りや家族用として2シリーズ グランツアラーを所有し、2台目にM4を置く。

または、1台目を通勤や長距離ドライブに最適な5シリーズ セダンにし、2台目にM3を迎える。

そんな組み合わせができるなら、実に贅沢で理想的なカーライフになるでしょう。


まとめ

というわけで、Mモデルの圧倒的なパフォーマンスは確かに魅力的ですが、必ずしも誰にでも合うわけではありません。購入を検討する際には焦って契約するのではなく、ぜひ一度試乗して、その特性が自分のライフスタイルに合っているかを確かめてみてください。

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