Bunasera!(ブォナセーラ)、皆様 tutto bene?(トゥット・ベーネ?)
イタリア人と会話すると、必ずのように「tutto bene?」と聞かれる場面に出会います。日本語に訳すと「ご機嫌いかがですか?」となりますが、実際のニュアンスはもっとカジュアルで「元気?」に近い感覚です。教科書的な表現だと「Come sta?(コメスタ?)」=「調子はどうですか?」と学ぶ人が多いですが、特にローマでは圧倒的に「tutto bene?」が一般的です。レストランに入った時や、知り合いと顔を合わせた時に「どうだい、元気かい?」と軽く声をかける、そんな日常の温かさがそこにあります。
日本でも「ご機嫌いかがですか?」と文法的に正しい挨拶はありますが、実際に日常会話で使う人はほとんどいませんよね。イタリア語の教科書と現地の実情には、そのくらいギャップがあるのです。イタリア旅行をすれば、特にローマでは「tutto bene?」と声をかけられる場面が必ず訪れるはずです。
教科書的な挨拶と実際の挨拶の違い
イタリア語の入門書では次のように説明されます。
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Buongiorno(ボンジョルノ)=おはようございます、こんにちは(朝から昼まで)
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Buonasera(ボナセーラ)=こんばんは(午後から夜まで)
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Buona notte(ブオナノッテ)=おやすみなさい(寝る前の挨拶)
もちろんこれは間違いではなく、全国どこでも通じます。ただし、実際に街で暮らしてみると、地域ごとに使い方が少しずつ違うのです。
ローマ ― Buongiorno が長く使われる街
首都ローマでは、午前中だけでなく午後になっても「Buongiorno!」で通す人が多いのが特徴です。日本語で言うと、夕方になっても「こんにちは!」と言い続ける感覚です。
「Buonasera(こんばんは)」に切り替えるのはだいたい午後4〜5時以降。つまり太陽が落ちかける時間になって、ようやく「ボナセーラ」が登場します。また「Buona notte(おやすみなさい)」は、家族や親しい友人の間では使いますが、店員からお客さんへはあまり言われません。
ナポリ ― 切り替えが早い街
南イタリアのナポリでは少し事情が違います。「Buongiorno!」は午前中にしか使わず、午後1〜2時になるとすぐに「Buonasera」に切り替わります。つまり昼食を済ませたら、もう「ボナセーラ」なのです。ローマと比べると、かなり早めに「こんにちは」から「こんばんは」へスイッチする印象を受けます。
フィレンツェ ― 独自の Pomeriggio
さらに面白いのがフィレンツェです。午後になると「Buonasera」と言わずに「Buon pomeriggio(ブォン・ポメリッジョ)」を使うのが一般的です。午後2〜6時くらいまで、タクシーの運転手やレストランのスタッフまでみんな「ポメリッジョ」と挨拶してきます。
実はこの「pomeriggio」という表現は本来やや硬めで、ローマやナポリではほとんど耳にしません。しかしフィレンツェではこれが生活に溶け込んでおり、むしろ「ボナセーラ」と言う方が少数派。観光客としては「現地っぽさ」を出せる一言になるでしょう。
Buona notte は特別な言葉
「Buona notte(おやすみなさい)」は、日本語の「おやすみ」と同じで、親しい間柄で使う言葉です。ホテルのフロントやレストランではあまり耳にしないでしょう。イタリアでは「家族や恋人、親しい友人に言う言葉」といった位置づけで、むしろ日本よりプライベート感が強いかもしれません。
旅行で使うなら?
まとめると:
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ローマ → 午後でも「Buongiorno」が多く、夕方から「Buonasera」
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ナポリ → 昼食後すぐに「Buonasera」に切り替え
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フィレンツェ → 午後は「Buon pomeriggio」が主流
南イタリアなら「午前はボンジョルノ、午後はボナセーラ」で大きな問題はありません。北や中部に行くなら、土地柄を感じて「ポメリッジョ」を使ってみるのも通っぽくて楽しいでしょう。
最後に
イタリア旅行では、教科書通りの挨拶だけでなく、こうした地域ごとのニュアンスを知っていると会話がぐっと自然になります。そして挨拶に続いて「Tutto bene?」と聞かれたら、ぜひ笑顔で「Sì, tutto bene!(はい、元気です!)」と返してみてください。
言葉のキャッチボールから始まるコミュニケーションこそ、旅をより豊かにする要素です。イタリアの街角で、ぜひ試してみてください。
Buon viaggio!(良い旅を!)
※写真はウンブリア州アッシジ、聖フランシスコ教会のある丘の上の町


