「なぜ同じWi-Fiが2台並んでいるの?」──実は“プロの現場では常識”だった話

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Twitterで見かけた “謎のWi-Fiアクセスポイント” が面白かった話
先日、Twitter(現X)で非常に興味深い投稿を見かけました。

壁に取り付けられた Wi-Fiアクセスポイントが2台、まったく同じ形で横並びになっている のです。

ぱっと見ると、「コピペしたのかな?」「左右で全く同じ機材を張り付けたの?」と不思議な印象を受けます。

タイムラインでは多くの人が理由を推測しており、

  • ゲスト用と管理用でSSIDを分けている

  • 最大接続数が足りないから2台使っている

  • 管理者が別なのでAPが2系統ある

  • 有線LANの口がそこにしかないから

といった様々な意見が飛び交っていました。
その中で一つ、明確に「決定打」と言えるコメントがありました。


片方だけ “電源ON” になっているという鋭い指摘

写真をよく見ると――

ACアダプターの上の 黒い突起(電源ボタン)に違いがある のです。

  • 左側(AP1)…ボタンが押し込まれていて電源ON

  • 右側(AP2)…ボタンが出ていて電源OFF

つまり、

2台のうち、片方だけが稼働している。もう片方は完全に停止している。

この時点で “コピペのように見える2台構成” の謎は一気に深まり、逆に「これは意図的だ」と分かります。

この状態から導き出せる答えは


“コールドスタンバイ(cold standby)” 構成

現場のネットワーク設計ではよく使われる冗長化方式で、予備機を隣に “完全に同じ状態” で設置しておき、必要になったらすぐ切り替えるというものです。

写真をよく見ると、2台とも

  • LANケーブルが挿さっている

  • ACアダプターも用意されている

  • 配線も整理されている

つまり、「いつでも稼働可能な状態」で丁寧に準備されています。


コールドスタンバイとは何か?

最大の目的は 迅速な復旧(MTTRの最小化)コールドスタンバイとは、予備機を配置しておき、

  • 通常は 電源OFF(非稼働)

  • 障害発生時だけ ONにして切り替える

という運用方式です。メリットは非常にシンプルで強力です。

(1)障害時に“即座に”復旧できる

Wi-Fi APが故障すると原因追求が必要になります。

  • 本体の故障?

  • 電源アダプタの不良?

  • LANケーブル断線?

  • 設定ファイル破損?

現場でこれを調べるのは大変です。
特に飲食店・店舗・会議室などでは、Wi-Fiが止まるとその瞬間に業務が止まる 場合もあります。

しかしコールドスタンバイなら、電源を ON にする → ケーブル差し替え → 即復旧これだけで数分以内にサービスを再開できます。

(2)同じ機材・同じ設定だから “完全互換”

APの設定もSSIDもパスワードも、

すべて事前に複製しておけます。

故障した瞬間に新しい機種を買いに行って設定する…

という非効率な作業が不要になります。

(3)予算や機材選定を“後回し”にできる安心感

機材が壊れると、人・予算・意思決定が絡み、

  • どのモデルを買うか?

  • いまの在庫があるか?

  • 新モデルと互換性があるか?

  • 設定をどう移行するか?

など非常に面倒です。

しかしコールドスタンバイを置いておけば、

とりあえず復旧だけ確実にして、後日ゆっくり考えられます。


写真が“コールドスタンバイ”に見える理由

  • 2台が完全に同じ位置・同じ高さに並ぶ

  • 配線が綺麗で、2台とも即使える状態

  • AP1のみ電源ON、AP2は完全OFF

  • ラベルも AP1 / AP2 と明確化

  • ACアダプタも両方準備済み

「予備として用意しているなら分かるけど、普通わざわざ壁に固定しないのでは?」

と思う方もいるかもしれませんが、これは業務用ではむしろ合理的 です。

  • 電波の最適位置が既に決まっている

  • ケーブル長も施工済み

  • スタッフが迷わず切り替えられる

という理由で、並べて固定 が最適解になるケースは多いです。


他業界にもある「コールドスタンバイの考え方」

ネットワークの世界だけの話ではありません。

プロのカメラマン

常に同じ機材の 予備ボディを現場に持ち込む

→ 本番中に故障しても即交換して撮影継続

VIP輸送(大統領専用車など)

大統領車列では “同じ車が2台以上” 用意され、

一方はダミー/一方は予備として運用されます。

これはコールドスタンバイというよりホットスタンバイに近いですが、

「予備を用意することでリスクを最小化する」 という思想は同じです。


同じ機材が2台並んでいたら “コールドスタンバイ” を疑う

今回のTwitterの写真は、まさにその典型例でした。

  • 片方だけ電源ON

  • 両方の配線が完了

  • 同じ設定で即切替可能

  • 現場の運用が止まらない

という構成は、実務ではとても理にかなっています。

Wi-Fi一つとっても、「止められないサービスをどう守るか?」という設計思想が現れた、とても興味深い事例でした。

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