Buon Natale!
日本のクリスマスといえば、プレゼント交換やパーティー、イベントといった華やかなイメージが強いと思います。

日本のクリスマスマーケット
日本人の多くはキリスト教徒ではありませんが、不思議なことに12月24日は一年の中でも特別な日として扱われ、お正月の次くらいに重要なイベントとして認識されているように感じます。
SNSを見ていると、恋人に欲しいプレゼントの一覧を公開し、10万円や20万円の品を当然のようにねだる投稿が炎上していたりして、なかなか刺激的で面白い文化だなと思うこともあります。
全国の彼氏へ‼️お願いします‼️ https://t.co/v1CxgZfi4u pic.twitter.com/r2eghao6At
— あおチャン (@kusobiyoakaka) December 20, 2025
ヨーロッパのクリスマスマーケットは違う?
ヨーロッパの本場のクリスマスマーケットに行ってみたい、と思う方も多いのではないでしょうか。私自身、イギリス、フランス、イタリアなどを旅しながら、いくつものクリスマスマーケットを巡ってきました。
向こうでは小さな街や村でもマーケットが開かれていて、規模は小さいのに驚くほど美しく、思わず感動してしまう場所がたくさんあります。

一方で、ストラスブールのような大都市では、想像を超える巨大なクリスマスマーケットが開かれ、屋台だけでなく踊りや演奏、さまざまな催しが行われます。テロ対策のために軍隊が何十人も警備していることもあり、日本で想像する「可愛らしいマーケット」とはまったく異なる、少し物々しい雰囲気すら感じます。

12月24日・25日にヨーロッパ旅行は禁忌?
しかし、もしクリスマスマーケットを目的に、12月24日から25日にかけてヨーロッパを訪れると、かなり厳しい体験になる可能性があります。というのも、ヨーロッパの人々にとってクリスマスは「外で楽しむ日」ではなく、「家族で静かに過ごす日」だからです。24日は午前中から昼過ぎまでの短縮営業、もしくは休業する店が多く、25日になるとほとんどの店やレストランが閉まってしまいます。
特にイギリスでは、電車やバスといった公共交通機関までほぼ止まってしまい、日本のように外でサービスを受ける感覚は通用しません。24日や25日が書き入れ時で、新宿や渋谷がきらびやかに賑わう日本とは、まさに真逆の文化です。
余談ですが、1月6日も祝日として休む店が多く、さらに年末年始は長期間お店を閉めるところも少なくありません。そのため、12月23日頃から1月7日頃までを「年末年始としてヨーロッパで本格的に楽しもう」とすると、想像以上に身動きが取れず、なかなか大変な旅になることがあります。
実際のところ、現地に家族やよほど親しい知り合いがいない限り、この期間は避けた方が無難かもしれません。もしくは、高級ホテルなどで滞在そのものを楽しみ、外出を最小限にするような旅行スタイルであれば、まだ過ごしやすいと言えるでしょう。
ヨーロッパではクリスマスは1月まで続く
さらに驚くのは、ヨーロッパでは1月になってもクリスマスツリーやイルミネーションが残っていることです。日本人の感覚だと「なぜ早く片付けないのだろう」「少しだらしないのでは」と思ってしまうかもしれませんが、ここには大きな文化の違いがあります。

日本ではクリスマスのすぐ後にお正月という、宗教的にも社会的にも重要なイベントが控えているため、25日の夜には一気に片付けてしまいます。
しかしヨーロッパではそうではありません。キリスト教が生活の中心にある国が多く、クリスマスは12月25日で終わるのではなく、1月6日頃まで続く一つの期間として扱われます。クリスマスツリーやプレゼピオ、街の装飾も、その頃まで自然に残されています。

クリスマスの原点を考える
1月6日は「公現祭(エピファニア)」と呼ばれ、東方の三博士が幼子イエスのもとを訪れたこと、つまりキリストが世界にその存在を現した日として祝われます。キリスト教においては、クリスマス(12月25日)が「キリストの誕生を祝う日」であり、公現祭が「その誕生が人々に知らされた日」として位置づけられています。フランスではこの日にガレット・デ・ロワという“王様のお菓子”を食べる習慣があり、イタリアでも魔女のベファーナが贈り物を届ける伝承が残るなど、地域によってさまざまな祝い方があります。
こうした行事を見ていくと、クリスマスとは単発のイベントではなく、アドベント(待降節)から始まり、公現祭まで続く長い宗教的時間の中にあることが分かります。つまり本来のクリスマスとは、誕生を祝うだけでなく、希望や光が広がっていく「過程」も含んだ物語なのです。
日本とヨーロッパを比べてみると、どちらが良い悪いという話ではなく、文化や宗教をめぐる重心の違いが、祝い方の違いとして現れているだけなのだと思います。日本のクリスマスは、プレゼントやイベントを中心とした商業的な行事として独自に発展してきた面がありますが、たまには少し立ち止まって、なぜこの日を祝うのか、何を大切にしたいのかを考えてみるのも良いかもしれません。
「ここまで違う、日本とヨーロッパのクリスマス文化」。そう気づくことができた今だからこそ、今年のクリスマスをほんの少し、深く味わってみるのも悪くないのではないでしょうか。


