BMW 640i グランクーペ&カブリオレ

クルマ
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BMW 6シリーズの魅力

非日常を纏うBMWのラグジュアリークーペ「640i」。

堂々たる風格と細部に宿るこだわり――6シリーズの魅力を余すところなくお伝えします。

今回は「640i クーペ」「グランクーペ」「カブリオレ」を比較し、それぞれの特徴と、どのモデルを選ぶべきかをレビューします。

6シリーズの生い立ち

新型F12の6シリーズは、2011年にまず「640i 直列6気筒3リッター」と「650i V型8気筒」の2グレードがカブリオレとして発表されました。

その後「クーペ」、さらに4ドアの「グランクーペ」が加わり、3つのラインナップが揃います。

グランクーペとは、クーペの流麗なスタイリングを持ちながら、セダンのような利便性を追求したモデルです。大人4人が快適に過ごせる室内空間を備えた、実用性の高いクーペとして位置づけられています。

近年では、3シリーズクーペの後継となる4シリーズにも「グランクーペ」が設定されたことが記憶に新しいでしょう。

いずれのモデルも、大型ラグジュアリークーペという強い嗜好性を持ちながら、「2ドア」「4ドア」「オープン」の中からライフスタイルに合わせて選べることが大きな魅力の一つです。

セグメントとしてはBMW 5シリーズと同じ“Eセグメント”に分類されますが、当時8シリーズが存在しなかったことを考えると、6シリーズはBMWの最上位スポーツグレードと言っても過言ではありません。


640iの実力

640iは直列6気筒3リッターエンジンを搭載し、先代E63でいう630iに相当します。ただし、その実力は大きく進化。ツインターボと1300rpmという低回転から発生する46kgmの強烈なトルクによって、4リッター級に匹敵するパワーを実現しています。

従来モデルでは下位グレードにパワー不足を感じることもありましたが、新しい640iはボディサイズにふさわしい余裕ある走りを提供してくれます。

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6シリーズの外見と独特なスタイル

パンテール(豹)を思わせるフロントデザインは、BMWの歴代デザインの中でも屈指の存在感を放ちます。

キドニーグリルを挟むヘッドライトは、猫科を思わせる鋭い形状。獲物を狙い息を潜める豹のように、厳しく獰猛な狩人の風格を醸し出しています。

そのスタイリングは低重心で、BMWラインナップの中でも特に低い部類に入ります。例えばスポーツモデルの代表といえる新型435iと比べても全高はわずか5mm低い1,370mm。さらに全幅は640iの方が7cm広いため、そのフォルムがいかに低く、広く、特別なものであるかが分かります。

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シャープなキャラクターラインは車体中央を最も深く刻み、後方に向かうにつれて影が細くなる設計。フロントからリアへと流れるわずかな弧を描く直線と、ルーフから下方へ滑らかに落ちるラウンドが織りなす造形は、複雑でありながらシンプルな美しさを表現しています。車体を斜めから眺めたとき、その独特の調和が最も映えるでしょう。

今回紹介しているMスポーツ仕様は、フロントグリルのエアダクトがM6のように大きく広がり、迫力ある印象を強めています。一方、ベースグレードは威嚇的な要素を抑え、よりエレガントな雰囲気を纏っています。選択はオーナーの好みに委ねられる部分です。

かつてのE92型3シリーズも、ベースグレードやHi-Line仕様の335iは上品でエレガントな印象を際立たせていましたが、335i MスポーツはまさにM3さながらの迫力あるスタイルを備えていました。6シリーズも同様に、スポーティさを求めるならMスポーツ、優雅に乗りこなすならベースグレードがおすすめです。

640iの乗り心地

BMWが考えるラグジュアリークーペの世界観が、この640iには体現されています。

車重とボディサイズに比例して重厚さを増す乗り味ですが、メルセデス・ベンツのように乗員の快適性を最優先するのではなく、BMWらしくあくまで「走る歓び」を軸に据えています。ドライバーの操作にダイレクトに応える車体は、まるで自分自身が豹となって公道を駆け抜けるかのような感動をもたらしてくれるのです。

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現行7シリーズ(アクティブハイブリッド7)と比べると、その違いは明確です。サスペンションのセッティングは快適性よりも運動性能を優先。理想的なラインを正確にトレースするため、必ずしも「この上ない快適さ」とは言えません。

しかし、これまでスポーツモデルに親しんできたドライバーにとっては別です。峠のワインディングや複雑なコーナーを思い通りに駆け抜けられることこそが”快適”であり、その理想をまさに640iが叶えてくれます。この車はゲストを後席に乗せて談笑するためのものではなく、BMWのスポーツ精神を色濃く受け継いだシリーズといえるでしょう。

運転席・助手席のシートはホールド性が高く、バックレストやランバーサポートなど多彩な調整機能により、自分に最適なポジションを作り出せます。加減速で大きな荷重がかかっても身体がずれることはなく、ドライビングに集中できるのも魅力です。

3シリーズ クーペと比べると、フルバケットシートに近いホールド感を備えており、特にコーナリング時には身体をしっかり支えてくれます。その一方で、日常走行では疲れにくく、リラックスしたドライブも楽しめる設計です。

 

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6シリーズの運動性能

革新的なダウンサイジングと“3リッター”が生み出す走行性能。

本革ステアリングを握り、アクセルを踏み込んだ瞬間、「1,800kgの車重をたった3リッターで支えられるのか」という不安は消え去ります。

6シリーズを選ぶ際、多くの人が気にするのは「650i V型8気筒 4.4リッターと比べて、640iの直列6気筒3リッターは非力ではないか?」という点でしょう。確かに450馬力を誇る650iに対し、640iは320馬力と数字だけを見れば劣ります。

しかし、650iが最大トルク66.3kgmを2,000回転から発揮するのに対し、640iは45.9kgmを1,300回転というより低回転域から引き出します。エンジン特性とターボの違いにより、むしろ低速域では640iが有利。日常的に多用する0〜100km/hの加速においては、決して不足を感じさせません。

普段335iに乗る筆者から見ても、この640iは十分なパワーを備えています。重たいはずの車重を感じさせないセッティングは、まさに“BMWマジック”。アクセル操作に遅れなく反応する車体は、ドライバーと一体になる感覚を強く与えてくれます。

アウトバーンのように160km/h以上で車線変更を繰り返す場面では650iの方が優位ですが、640iも“4リッター相当”と称されるだけあり、3リッターターボでも十分に爽快なフィーリングを味わえます。ターボの効き方も自然で、かつての唐突な過給感はなく、NAエンジンのように滑らか。従来のNA BMWを好んできたオーナーでも違和感なく受け入れられるでしょう。

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サスペンションは、意図的にかけた荷重をしなやかに受け止め、ダンパーが確実に機能していることを実感できます。オーバースピードでコーナーに進入しブレーキングしても、フロントサスペンションが優しく吸収。ブレーキをリリースすると同時にフロントがふっと持ち上がる挙動は、極めてコントローラブルです。335iよりもピーキーさが抑えられ、車重ゆえの安定感が強く感じられますが、ハンドルの切り込みが遅れることはありません。むしろコンパクトな3シリーズを思わせる鋭い旋回性能を見せます。

BMWがこだわり続けるFRレイアウトは、高速巡航時の安定性を高めると同時に、コーナリング中にアクセルを開けて荷重をしっかりと後輪にかけるためのものです。確かに、アウディのクアトロシステムはコーナリングの安定性では同等以上といえます。しかし「操る歓び」という観点では、BMWのFRに軍配が上がるでしょう。

自分の手で車を操る歓び――それこそが、この6シリーズで完成されたドライビング体験なのです。

6シリーズ内装

インテリアは5シリーズよりも、むしろ7シリーズに近い雰囲気を持っています。センターコンソールやiDrive周辺のデザインは高級感が漂い、堂々としたラグジュアリーカーらしさを表現しています。

ただし7シリーズがラグジュアリーと快適性を徹底的に追求しているのに対し、6シリーズは卵型に包まれるような丸みを帯びた造形が特徴です。乗り込む前はやや窮屈そうに見えますが、実際に座ってみると足元は広々としていることに気づきます。先代E63と比べても格段に広くなった印象です。

一方で、先代にあった“妖艶さ”は薄れ、洗練された清潔感のある内装へと進化しました。ダッシュボードにはダブルステッチが施され、より高級感を演出。ハンドルの革質も3シリーズとは異なり、しっとりとした質感を持つダコタレザーが採用され、強度と柔らかさを両立しています。これらはオプションで自由に選択可能で、自分だけの一台を仕立てる楽しみがあります。

シフト周辺のウッドパネルは突板仕上げで、運転席側にまで折れ曲がるような凝ったデザイン。こうした細部においても、3シリーズや5シリーズとの差別化が図られています。

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グランクーペの後部座席

グランクーペの後席は、大人2人が快適に座れるスペースを確保。ヘッドクリアランスを稼ぐため天井にくぼみが設けられ、身長180cmの人でも窮屈さを感じにくい設計になっています。

シートは航空機のビジネスクラスを思わせる大型で質感の高いレザー仕様。スポットライトも備えられており、クーペでありながら後席でも快適にロングツーリングを楽しめる点が印象的です。また、ボリオリやキートンといった高級ジャケットが皺にならないよう、後部座席上部にはハンガーを掛けられる工夫も施されています。まさに高級車ならではの配慮といえるでしょう。

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望まれる装備

あえて贅沢を言うなら、後席コンソールでエアコンの調整に加えてオーディオ操作も可能であればさらに便利です。音量調整や曲送りといった最低限の操作ができれば、後席の快適性は一層高まると感じます。

日常で使うという”歓び”

この6シリーズは「日常の車か?」と問われれば、多くの人が「そうではない」と答えるでしょう。

全長は5,000mm近く、全高はわずか1,370mm。ワイドな車格と低いフォルムは、まるでスーパーカーさながらのスタイリングです。さらに2ドアの設定もあり、一般の目から見れば“テレビの向こう側”にあるスペシャリティーカーといえます。

しかし、6シリーズ――特に640iの魅力は「日常で使えるスペシャリティーカー」である点にあります。

例えばマセラティ・スパイダー。同じV8 4.2Lのフェラーリ製エンジンを積み、ピニンファリーナやジウジアーロのデザインによる華やかな2ドアクーペでしたが、イタリア車は信頼性が低く、年間を通して修理に追われ、安心して毎日乗れる車ではありませんでした。燃費もリッター5.8kmと、“燃費性能までスペシャル”な存在です。

近年のマセラティ(ギブリやグラントゥーリズモ)は1,000万〜1,400万円という価格帯で、確かに6シリーズより上位に位置しますが、内装の質感はBMWと比べて特色を失い、往年のフラウレザーや重厚な造形美も薄れつつあります。

その点、BMW 6シリーズは「スペシャリティーカー」でありながら、安心して“毎日”乗れる存在です。十分なパワーを備えており超高速走行にも対応しつつ、近所の買い物にさえ気軽に使える。そしてBMW独自の長期保証をオプションで付ければ、新車購入から5年間、修理の不安なく乗り続けられます。もともとBMWはドイツ車の中でも故障が少ないメーカーであり、輸入車としてはリスクが最小限です。

さらに640iは下位グレードゆえに燃費性能が優秀です。650iが9.6km/Lに対し、640iは12.2km/Lという好成績。同じ“ワイド&ロング”なスペシャリティカーでありながら、E90型320iとほとんど変わらない低燃費性能を実現しています。

国産車では「カタログ燃費12.2km/L」とあっても実燃費は7〜8km/L程度ということが多いですが、BMWのカタログ燃費は非常に正確。エアコンをつけて街中や山道を走っても、カタログ値通りの燃費が得られます。さらにロングツーリングで丁寧に走れば、カタログ値の1.5倍近い数字も十分に達成可能です。

初期費用と延長保証さえ用意できれば、その後の維持費は圧倒的に少なくて済む――。

6シリーズは“特別な車”でありながら、“日常の歓び”を手にできる希少な存在なのです。

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家庭と共に楽しむグランクーペ、そしてカブリオレの贅沢

家庭を持ちながらもクーペのスタイリングを楽しみたいのであれば、「グランクーペ」が理想を叶えてくれる一台です。セダンでも2ドアクーペでもない独自の存在は、日常にありながら稀少な魅力を放ちます。

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もし子供が成人して手を離れたのであれば、是非ともカブリオレをお勧めします。

このロング&ローなBMW特有のダイナミックな造形と2ドアのカブリオレを組み合わせると、正にそれは”唯一の存在”となります。現在の日本では軽自動車やハイブリッドカー、SUVやミニバンが道路のほとんどで、2ドアの存在でさえ一日でごく限られた台数しか出会うことができません。

その中でも、ラグジュアリークーペ 6シリーズの”オープンモデル”は、日常に存在する車の中で最高峰と言えるほどの存在感があります。たった二人しか乗れないにも関わらず4リッター相当の性能を持つオープンカー「カブリオレ」は休日を中心にして過ごすオーナーのステータスでもあります。

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例えばソリッドのブラックに塗られた5シリーズやメルセデスのセダンであれば、エグゼクティブが仕事使いにしているという印象を受けますが、6シリーズ カブリオレは仕事とは無縁であるかのような印象があります。つまり日常で使うにも関わらず、その日常全てが特別な存在となります。

7シリーズのような快適性や4枚のドアさえも必要としない、余裕のある限られた人しか乗ることのできないモデルがこのカブリオレなのです。カブリオレであれば、内装の色はベージュやシロ系がお勧めです。もちろん汚れやすいので丁寧な扱いが必要になりますが、特別は感動へ繋がります。

カブリオレでお気に入りのジャケットと共に出かけてみて下さい。

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6シリーズの販売店とメンテナンス

ハイパフォーマンスモデルである6シリーズは、高度なメンテナンスが欠かせません。購入からアフターサービスまで安心して任せられるのは、やはり正規ディーラーです。

今回試乗車をお借りした「Shizuoka BMW」は、静岡県内で展開するBMW正規ディーラー。誠実な対応と手厚いアフターケアに定評があり、見積もりから購入、そしてメンテナンスに至るまで、安心してBMWライフを任せられる存在です。

もちろん、1シリーズから7シリーズまでフルラインナップが揃い、豊富な試乗車・展示車を用意。特に在庫車については、都心の店舗と比べても優位な価格が提示されることもあるため、首都圏でBMWを検討している方にも「一度見積もりだけでも取ってみる価値あり」とおすすめできます。

店舗情報

Shizuoka BMW 静岡営業所 [BMW i 販売店]

〒422-8051 静岡県静岡市駿河区中野新田175-1

TEL:054-284-1351(営業担当:重岡)

営業時間:9:00~18:00(平日・日曜・祝日)

定休日:新車ショールーム/月曜日、サービス/月曜日

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