フォートナム&メイソンとは?
フォートナム&メイソン(Fortnum & Mason、以下F&M)は、イギリスを代表する高級百貨店であり、紅茶ブランドとしても世界的に知られています。日本では同じくロンドンに本店を構えるハロッズと並び、英国紅茶を象徴する存在といえるでしょう。
F&Mの歴史は300年以上に及び、英国王室御用達(ロイヤルワラント)を授与されていることでも有名です。ロンドン本店のターコイズブルーの外観は、観光スポットとしても人気があります。
ホリデーバスケットと英国的ライフスタイル
英国本家のサイトを覗くと、特にクリスマスシーズンには華やかな「ハンパー(ホリデーバスケット)」が販売されているのが目を引きます。
ワインやハムといった食材、クラッカーやチョコレートなどのお菓子、紅茶やコーヒー、さらには食器まで詰め合わせた豪華なセットで、価格は5万円台から100万円に迫るものまで幅広く揃っています。
日本人が思い描く「湖水地方のピクニックバスケット」をそのまま具現化したようなこのセットは、贈答用としても人気が高く、英国の伝統と格式を感じさせます。F&Mのバスケットを持って芝生に腰掛ける姿は、英国の上流階級的なライフスタイルを象徴するものといえるでしょう。

日本での展開とカフェ文化
日本でもF&Mの紅茶は正式に輸入されており、三越や伊勢丹などの百貨店で購入できます。特に三越日本橋本店ではティーサロンが併設され、実際に紅茶をティーポットで提供してくれるアフタヌーンティー体験が可能です。
もっとも、筆者が訪れた際にはお茶が少しぬるく、風味も薄めで「ん?」と感じてしまったこともありました。とはいえ、ロンドンまで行かずに本場の紅茶文化を味わえるのはやはり魅力的です。
缶デザインの魅力と世代ごとの記憶
F&Mといえば、まず目に浮かぶのが美しい紅茶缶です。現在のターコイズブルーを基調としたデザインは、シンプルでありながら高級感があり、キッチンに並べるだけでインテリアの一部になるほど。
ただし、このデザインは比較的新しいもので、3年ほど前までは別の意匠でした。さらに10年以上前は緑色の缶に白文字というクラシカルなデザインだったそうです。年配の方にとっては「フォートナムといえば緑缶」という記憶が残っている場合もあり、世代ごとにイメージが異なるのは興味深い点です。
筆者は平成生まれなので、やはり今のブルー缶がしっくりきますが、それでも旧デザインを懐かしむ声には共感します。紅茶は味だけでなく「缶の美しさ」も楽しむ要素のひとつなのです。

実際に飲んでみた:おすすめはやっぱりフォートメイソンブレンド
F&Mの紅茶ラインナップは豊富で、クイーンアン、ロイヤルブレンド、スモーキーアールグレイ、ダージリン、アッサム、セイロンなど多彩です。その中でも筆者が圧倒的に推したいのは「フォートメイソンブレンド」です。
一口飲んだ瞬間に広がる独特の香りはクセになり、ストレートで飲むと心地よい多幸感に包まれます。フランス紅茶ほど華やかではないものの、クラシカルでありながらどこかエレガント。落ち着きのあるフラワリーさが隠れており、まさに「英国紅茶の王道」といえる味わいです。
筆者は年間1000杯以上の紅茶を飲みますが、無人島に一本だけ持っていけるとしたら間違いなくこのフォートメイソンブレンドを選ぶでしょう。まさに「看板商品にして至高の一杯」です。
他のブレンドの評価
もちろん、他の銘柄も一通り試しました。しかしダージリンやアッサム、セイロン、ロシアンキャラバンなどは、正規店で購入したにもかかわらず香りが弱く、茶葉の品質も「高級とまではいかない」印象でした。
比較対象として、マリアージュ・フレールのインペリアル系やハロッズのブレンドと比べると、やはり見劣りする部分もあります。紅茶全体の平均点は高いものの、突出して「すごい!」と感じるのはやはりフォートメイソンブレンドに限られます。
ミルクティー前提であればクイーンアンやロイヤルブレンドも良いですが、ストレート派には断然フォートメイソンがおすすめです。
英国本家からの直輸入について
ここで少しマニアックな情報を。実はF&Mは英国本家のオンラインストアから直輸入することも可能です。
例えば、シルバープレーテッドのティーセット3点がわずか495ポンド。送料を含めても540ポンド程度で、日本円にして10万円を切る価格で手に入ります。為替が1ポンド=120円程度に戻れば、6万円台で本格的なティーセットが入手できる可能性もあります。
また、125g缶入りで日本では約2000円のフォートメイソンブレンドが、本国では9.95ポンド。現在のレートでも250gで1900円程度と、日本の半額近い価格です。ただし送料が40ポンド(約7000円)と高額なので、まとめ買いをしないと逆に割高になってしまいます。
可愛いミニ缶の詰め合わせなども本国限定で販売されており、コレクションとしても魅力的です。
日本の正規代理店は「良心的」
こうした価格差を考えると「直輸入がお得なのでは?」と思うかもしれません。ですが実際には、日本の正規代理店の価格設定はかなり良心的です。
なぜなら、輸入ブランドによっては本国価格の3倍〜4倍で販売されるケースも珍しくないからです。ハロッズは最大で4倍、フォションも3倍程度に跳ね上がる商品があります。その中でF&Mは約2倍に抑えられており、関税や送料、品質保証を考えればむしろ親切な設定といえるでしょう。
特殊なアイテムを求めるのでなければ、日本国内の正規店で購入するのが安心かつ現実的です。
まとめ:フォートメイソンブレンドは唯一無二の存在
F&Mの紅茶は、全体的には「安定して良質」ですが、その中でもフォートメイソンブレンドは飛び抜けた存在です。ストレートで飲んで良し、香りを楽しんで良し。英国紅茶の魅力を体現した一缶だと思います。
そして缶のデザインもまた、生活を彩る小さな贅沢。世代ごとに異なる思い出を宿すパッケージは、単なる容器以上の価値を持っています。
紅茶を日常的に楽しむ人も、ちょっと贅沢したい人も、まずは「フォートメイソンブレンド」から試してみることを強くおすすめします。きっと新しいお気に入りになるはずです。


