「Yes」と言えるだけが、本当に良い大人でしょうか?

コラム
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大人になると、「大人らしく振る舞うこと」が求められる場面が増えます。

しかし、その「大人らしさ」とは一体何でしょうか。何でも「Yes」と言って場を丸く収めることでしょうか。それとも常識に従って無難に生きることでしょうか。

私が考える「良い大人」は、そう単純ではありません。ここでは5つの視点から「良い大人像」を考えてみます。


1.好奇心を忘れない

年齢を重ねるにつれて、どうしても経験や慣れに頼るようになります。すると思考は固くなり、知らず知らずのうちに「自分はもう分かっている」という態度になりがちです。

しかし、良い大人とは、いつまでも柔軟で好奇心を忘れない人ではないでしょうか。

本を読み続ける、音楽や美術に触れる、楽器や創作に挑戦する――そうした習慣は思考をほぐし、若々しい感性を保ちます。

私の知人に、80歳を超えてなおスマートフォンでLINEを使い、ヤフオクで買い物を楽しむ女性がいます。外見は年配の方ですが、知識も豊富で、おしゃれにも敏感。その若々しさは、年齢という数字を超えて「好奇心を持ち続けているからこそ」生まれているように思えます。


2.話を聞く

「話を最後まで聞けない」というのは、ある種の「オジサン化現象」の代表格でしょう。年齢を重ねるほど、自分の経験談や持論を語りたくなり、人の話を受け止めることを忘れてしまいます。

けれども、良い大人とは、相手が誰であれ真剣に話を聞ける人です。幼稚園児の話にだって耳を傾ける。そこに「くだらない」と決めつけるのではなく、「もしかしたら発見があるかもしれない」と思って聞く。その姿勢にこそ、成熟の証を見出せるのではないでしょうか。


3.大切にする

「失ってから気づく」という言葉は、恋人や家族、親友といった身近な人間関係にこそ当てはまります。近い存在ほど「居て当たり前」になり、感謝を忘れ、ついぞんざいに扱ってしまう。

しかし、恋人は別れれば赤の他人になり、親だって永遠に生きているわけではありません。だからこそ、今いる人を「大切にしている」と態度で示すことが大人に求められます。感謝を言葉にする、ちょっとしたプレゼントを贈る、労わりの行動を取る――それだけで関係は大きく変わります。

「居てくれること自体がありがたい」と思える心。それを表現できる人が、良い大人なのだと思います。


4.認める

人を「認める」というのは、実はとても難しいことです。特に、自分の経験から「こうすべきだ」と分かっているときほど。

最近、高校2年生の子から「学校を辞めたい。バイトをして自由に暮らしたい」と相談を受けました。私は反射的に「高校を辞めたら雇ってもらえるところなんてない。絶対に後悔するからあと1年頑張れ」と言ってしまいました。

自分自身も高校を中退した経験があり、社会の厳しさを知っていたからです。だから「正しい」ことを言ったつもりでした。

けれど後になって、自分が欲しかった言葉は「リスクを承知で頑張れ」と背中を押してくれる言葉だったと気づきました。

「常識的には正しい」ことと、「本人の尊厳を守る」ことは必ずしも一致しません。時には相手の意向を認める勇気も、大人に必要なのだと思います。


5.信念に基づいて生きる

最後に大切なのは、自分の信念を持ち、それに従って生きることです。

常識や慣習に流されるのは簡単ですが、それは必ずしも「正しいこと」ではありません。

例えば、日本では「労働こそが正義」という価値観が強くありますが、それに疑問を抱くなら声を上げてもよい。食肉や魚を食べるのが常識であっても、そこに倫理的な疑問を感じるなら食べない選択をしてもよい。

もちろん信念を貫けば、批判や制裁を受けることもあるでしょう。けれど、他人の目や声に流されず「自分はこう思う」と言えることが、真に成熟した大人の姿だと思います。


おわりに ― 良い大人とは?

「Yes」と言って場を収めることは、確かに大人としての一つの技術です。けれど、それだけで「良い大人」とは言えません。

好奇心を忘れず、相手の話を聞き、大切な人を大切にし、人を認め、自分の信念に従って生きる。

その姿勢こそが「良い大人」を形づくるのではないでしょうか。

社会的に立派な肩書きや収入があることよりも、こうした生き方を選べることの方が、ずっと価値のある成熟だと私は思います。

あなたにとっての「良い大人」とはどんな姿でしょうか。ぜひ一度、自分に問いかけてみてください。

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