高級イヤホンはこう選ぶ!ドライバー・ハウジング・スペック表の読み方完全解説

テック&ガジェット
この記事は約8分で読めます。

今回は編集部が厳選した、おすすめの高音質イヤホンを紹介します。

どれも高級機種ですが、一度購入すれば何年も愛用できるモデルばかりです。特に移動時間が長い方や、イヤホンを使う時間が多い方には強くおすすめできます。

イヤホンの紹介だけでなく、基本的な知識や選び方についても触れていきます。


SONY MDR-EX1000

モニターサウンドを高音質で楽しむなら、EX1000がおすすめです。

密閉型インナーイヤーレシーバーの最高峰として2010年に発売されて以来、長きにわたって高い人気を誇っています。

その後、XBA-Z5などEX1000を上回る価格帯のシリーズも登場しましたが、「XB」シリーズは低音を豊かに表現することを重視したモデルです。純粋にモニター用途を考えた場合、EX1000はいまでも十分に素晴らしい実力を持っています。

ただし表現はやや淡白な傾向があり、あっさりとしすぎていると感じる人も多いでしょう。

特にゼンハイザーIE8やIE800といった人気の重低音モデル、あるいはオルトフォンe-Q7のように過剰なまでに感動的な表現をするイヤホンから移行した場合、EX1000の低音やヴォーカルの質感に物足りなさを覚えるかもしれません。

EDMやクラブミュージックを楽しむなら、ゼンハイザーやオーディオテクニカ、あるいはソニーの重低音モデルを選ぶ方が満足度は高いでしょう。

おすすめのジャンル:クラシック・ジャズ


Sennheiser IE80

ゼンハイザーのミドルレンジモデルに位置づけられるのが、IE80です。

2011年に発売されたモデルで、「機材古くない?」と思う方もいるかもしれません。実際、今回紹介するイヤホンはすべて2〜3年以上前に購入した愛用品で、そこからしばらくポータブルオーディオ趣味から離れていました。それでも、IE80はいまなお現行で販売されている実力派モデルとして紹介に値します。

大人気だったIE8からの正統進化モデルで、豊かな低音とレスポンスの早さ、そして余韻を引かない締まりのある音が特徴です。アンプを通して大音量で鳴らすロックやEDMには相性抜群。もともと低音域は耳だけでなく大型スピーカーで全身に響かせてこそ魅力を発揮するものですが、IE80は小さなハウジングでそれを見事に再現しています。

マイクや録音機器を手掛けてきたドイツのゼンハイザーならではの技術力が、低音表現に光ります。日本でもオーディオテクニカが「SOLID BASS」シリーズで低音重視の展開を続けていますが、ゼンハイザーと比べるとクラブで箱鳴りしているようなブーミー感が強く、一歩及ばない印象を受けます。

IE80は3万円前後という手の届きやすい価格帯でありながら、音質面では大きな妥協がないことが素晴らしい点です。

一方で低音が強すぎる傾向もあるため、長時間のリスニングでは疲れてしまうことがあります。楽曲や気分に合わせて、再生機器側のイコライザーで低音を少し抑えるとより快適に楽しめます。

おすすめのジャンル:ロック・メタル・EDM・R&B・ダンスミュージック

Ortofon e-Q7

オルトフォンというメーカーをご存じでしょうか。

古くは「コンコルド」と呼ばれるレコード針を販売していたメーカーで、日本でも今なおオルトフォンの針を愛用するオーディオファンは多く存在します。さらに2000年前後には、同じ名を冠したコンコルド105、205、305といったコンパクトなブックシェルフ型スピーカーもリリースしていました。

オルトフォンの特徴は、まったりとしたサウンドの中に豊かな弦楽器の響きとヴォーカルの声の表現力がある点です。日本人の発声や感性に合わせてチューニングされたというこのイヤホンは、他のメーカーでは一切見られない独特の表現を実現します。

低音が強調されるタイプではありませんが、「女性ボーカルの声」「ピアノの音」「バイオリンの音」に関しては、高級イヤホンでも到達できない独自の魅力を備えています。e-Q7と似た特性を持つスピーカーに、オルトフォンのコンコルド205があります。実売6万円程度のコンパクト・ブックシェルフでありながら、20万円以上するB&W PM1よりも「声」の表現力に優れていると言われるほどです。

このe-Q7もまた、ゼンハイザーのHD800といった高級ヘッドフォンと比較しても決して色褪せない音色を聴かせてくれます。ただし、得意不得意がはっきりしており、苦手ジャンルが多いのも事実。10人中8人は「微妙かな……」と感じるかもしれませんが、残りの2人にとっては深い感動を与え、何年でも愛用できるほどの製品です。

おすすめのジャンル:女性ボーカル・ピアノソロ・バイオリン系・和楽器


イヤホン・ドライバーの種類

イヤホンには「ドライバー」と呼ばれる、振動板を震わせて音を出す仕組みが組み込まれています。店頭で選ぶ際や価格比較サイトを見る際にもよく登場する要素なので、基礎知識として知っておくと便利です。

ダイナミック型

多くのスピーカーやオーバーヘッド型ヘッドフォンに採用される方式です。

電気信号を受けたボイスコイルが振動板(ダイヤフラム)を前後に動かすことで音を発生させます。一般的にはパワフルで、低音表現に優れていると言われます。

バランスド・アーマチュア型(BA型)

主にカナル型イヤホンに採用される方式です。もともとは補聴器用として開発されたものをオーディオ用途に改良したもので、クリアで透き通った音を鳴らします。

小型化できる点が特徴で、1つのイヤホンに複数のユニットを搭載できるため、帯域ごとにユニットを分担させて細かい音を表現することが可能です。

ハウジング・ステムとは

イヤホンはドライバーユニットだけでなく、それ以外の部品によっても音質が大きく変わります。ここでは「ハウジング」と「ステム」について解説します。

ハウジング

ハウジングとは、ドライバーユニットを収納する“箱”のような部分です。スピーカーでいうキャビネットやエンクロージャーに相当します。ただし、スピーカーと違ってイヤホンのハウジングは音を反響させることを目的としていません。

むしろ「反響をいかに抑えるか」が重要です。内部残響と呼ばれる、ユニットから発せられた音がハウジング内に残り続け、次に出てくる音を濁してしまう現象は音質劣化の原因になります。そこで、マグネシウムなど残響を抑える特殊素材を採用することで、クリアな音質が得られるのです。

さらにハウジング形状もメーカーごとに工夫があり、その設計の違いがイヤホンの個性を大きく左右します。

ステム

ステムとは、イヤーチップを装着する円柱状の部品のことです。アルミ削り出しなど素材にこだわるメーカーもあり、設計思想が表れる部分でもあります。

カナル型イヤホンはイヤーチップを自由に交換でき、自分の耳に合ったものを選ぶことが可能です。このイヤーチップが実は音質に大きく影響します。素材や形状によって音の伝わり方や反響の仕方が異なるため、いくつか試してみて自分の好みに合うものを探すと良いでしょう。高級イヤホンでは、最初から何十種類ものイヤーチップが付属することも珍しくありません。

また、サイズによっても音質は変化します。しっかりフィットするサイズを選ぶことで、密閉感が高まり低音の再現性が向上します。ステムは音の出口なので常に清潔に保つことが重要です。ゼンハイザーやソニーなどの高級モデルには専用の清掃キットが付属することが多く、ごく柔らかいブラシで汚れを落とすのも有効です。


スペック表の見方

イヤホンを選ぶ際には、スペック表の理解も役立ちます。車でいう馬力やトルクのように、イヤホンの性能をある程度数値で把握できるからです。

周波数帯

イヤホンが再生できる音域を示します。最近は「◯◯kHzまで再生可能!」と高周波数帯をアピールする製品もありますが、人間の可聴域は20Hz〜20kHzとされており、それを超える音は聞こえません。

ただし、モスキート音のように大人には聞こえなくても体に影響を与える音域もあるため、超高音域の聴きすぎは耳に負担になるとも言われます。

インピーダンス

数値が高いほどケーブルに乗るノイズを抑える効果があります。従来は低インピーダンスが主流でしたが、出力の高いポータブルプレーヤーや専用アンプの普及により、高音質を狙った高インピーダンス製品も増えました。

例えば、beyerdynamic DT 880 PROは250Ω、Sennheiser HD650は300Ωと高インピーダンス仕様で、専用アンプを前提にしています。こうしたモデルをiPhoneなどパワーの弱い機器で鳴らすと、音量不足やこもった音になってしまうため注意が必要です。

感度(能率・音圧レベル)

一定の電力に対してどの程度の音量を出せるかを示す数値です。高いほど効率的に大音量を得られます。

例えば、B&Wのスピーカーは能率が低いモデルが多く、駆動には強力なアンプが必要です。同じようにイヤホンでも感度が低ければ、高性能なプレーヤーやアンプが必須となります。


選び方まとめ

ネット上では「高音域が強い◯◯こそ最高!」といった評価も見かけますが、結局は自分が一番好きな音を奏でる製品を選ぶことが何より重要です。もしアップル純正の白いイヤホンが一番しっくり来るなら、それで十分なのです。

好きな曲で試聴する

イヤホンにも得意・不得意なジャンルがあります。購入前には必ず、自分が一番好きで聞き慣れた曲を試聴に使いましょう。高級オーディオ店では、お気に入りのアルバムを持ち込むのが一般的です。ヨドバシカメラやビックカメラ、e☆イヤホンなど試聴環境が整った店舗で、自分のプレーヤーを使って確かめるのがベストです。

高級品と安価な製品を比較する

「高級機=偉い」という風潮はありますが、実際に使うのは自分自身。安くても良い製品があればラッキーです。おすすめは、まず最高級モデルを試聴して、その後に順に価格の安いモデルを聞いていく方法です。

そうすることで、5万円の音質に近い2万円のイヤホンを発見できたり、1万円で5万円クラスの実力を持つ「掘り出し物」に出会えるかもしれません。カメラ業界でいう「シンデレラレンズ」と同じように、イヤホンにも価格以上の価値を持つモデルが存在するのです。


まとめ

いかがでしたか?イヤホンのおすすめモデルと選び方の基礎知識を紹介しました。

ぜひ試聴に足を運び、自分に合った“長く付き合える一本”を見つけてみてください!

タイトルとURLをコピーしました