「イタリア人はなぜ JOHN LOBB(ジョンロブ)ではなく CHURCH’S(チャーチ)を履くのか」や「【革靴】ロングノーズ VS ぼってり靴 どちらがお洒落なのか」でも、プロフェソーレ・ランバルディがチャーチの魅力を語ってくれていますが、今日は私自身がチャーチを一年使ってみて気づいた“懐の深さ”について書いてみます。
Church’s(チャーチ)とは?
1873年、靴作りの街として有名な英国ノーサンプトンで誕生したブランドです。チャーチのウェルトシューズはグッドイヤーウェルト製法により、250以上もの工程を経て作られています。
日本でも多くの百貨店やセレクトショップで取り扱いがありますし、表参道には正規店もあります。一部のモデルはオーダーメイドも可能です。価格はモデルによりますが、正規店では7万〜12万円程度が主流です。
Church’s Factory Shopでお得に買おう
私が購入したのは、ノーザンプトンにあるチャーチのファクトリーストア。ロンドンから車で約2時間(日本で例えると東京〜三島ほど)の距離にあり、周辺には靴のファクトリーストアが点在しています。街自体はとても静かで、靴以外には特に大きな見どころはありません。
アウトレットでは一般的に20〜30%オフですが、写真のようにサイズが合えば50〜60%オフのコーナーもあります。ここからさらにタックスフリーも効くため、非常にお得な価格で購入できました。在庫は多いとは言えず、メンズ中心なのでレディースは物足りないかもしれません。マニアによると、年々“掘り出し物”は減っているそうです。
今回購入した Custom Grade は、チャーチの最上級ライン。アッパー、ソール、ヒールリフトまで丁寧に作られており、新品のソールは使うのが惜しいほど美しい仕上げです。
慣れるまではまったく良くない“苦行の日々”
最初から「チャーチ最高!」となったわけではありません。もともとサントーニなどイタリア靴を履いていた私からすると、イギリス靴は野暮ったくて重く、歩きにくい印象でした。さらに窮屈でとにかく痛い。新品の革靴が痛いのはよくあることですが、チャーチは特に“足に合っていない感”がありました。
ところが一ヶ月も履くとすっかり慣れ、重さもデザインも気にならなくなり、むしろ足型に吸い付くようにフィットするように。少し小さめのサイズを選んだのですが、これが功を奏して抜群に歩きやすく感じるようになりました。
もともと履いていたサントーニに戻ると「こんなに軽くて柔らかかったっけ?」と、子供のおもちゃのように感じるほどです。
右の靴が一年間かなりハードに使用したもの(山や川でも使用)、左が1〜2ヶ月で15回ほど履いたものです。
チャーチの良さは、何より“傷に強い”こと。そして使い込むほど表情が増し、磨けば上品さが滲み出るところです。「これがイギリス靴か…!」と深く納得しました。アウトレット品なので血筋やトラがありますが、それでも十分実用的。正規店で買えば、もっと綺麗な革質のものに出会えるはずです。
革質には個体差も大きいので、購入する際は靴に詳しい人に同行してもらうのが賢明です。
30歳からの“イギリス靴入門”は意外と正解
30歳を迎える前にイギリス靴を始められて本当に良かったと思っています。ロングノーズのイタリア靴は確かにカッコいいのですが、若々しさが前に出すぎてしまい、歳を重ねるほど似合いにくくなるのです。
25歳なら全然OK、30歳でもまだいけます。しかし40歳を超えて、先が尖ってツヤツヤのロングノーズが似合うかと言われると、かなり厳しい。
六本木や恵比寿には、ツヤツヤ・トゲトゲのイタリア靴に白パンを合わせ、ランボルギーニやフェラーリから降りてくるオジサンを見かけますが、正直「やっちまったなぁ…」と思ってしまいます。まだ写真の右の靴はマシな方で、さらに尖ってピカピカな靴が都心には多いのです。
だからこそ、できれば20代中盤から、遅くとも30歳頃には“イギリスのぼってり靴”に移行しておくのが得策なのです。ツイードジャケットを着ろと言っているのではなく、足元・髪型・体臭など含めて“無限に18歳でいられるわけではない”という事実を受け入れ、徐々に大人になる準備が必要だという話です。
歳を重ねて、ロイヤルオークと派手なベルルッティの尖った靴を合わせてしまうと、さすがに厳しいものがあります。
R氏「雑にさっと仕上げろ」
長年丁寧に使われたチャーチが、ベントレーにもランドローバーにもジャガーにも似合うのは当然。しかしR氏曰く「光らせすぎるな」とのこと。
チャーチだからといって鏡面磨きを施しピカピカにすると、むしろ下品で似合わない。コバの色補正、革の乾燥防止、型崩れの管理など最低限のケアをしたうえで、“家を出る前にサッと仕上げた”くらいの自然な艶が最も美しいとのことです。
さらに、高級紳士靴では“傷を気にしない心構え”も大切。東京の駐車場は狭く、乗り降りで靴をぶつけることも多い。両手が塞がる場面も多い。縁石で擦ることもある。そんな時にいちいち「大丈夫かな…」と靴を覗き込んでいてはダメなのです。
コッツウォルズの川辺を散歩するような場面にも使える、適度にタフで扱いやすいのがチャーチ。靴磨き職人に出してもいいですが、布で軽く磨くだけでも十分綺麗になります。ホテルの部屋にも磨きセットがあることが多いので、人に会う前に少し磨くだけで印象は大きく変わります。
まだまだ革靴入門者の私ですが、もし読者の方で“イギリス靴”をまだ迎えていない方がいれば、ぜひ一足試してみてください。(はっしー)


