アメリカと日本の経済・株式市場を考える

投資・マーケット
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最近、日本の経済がやばいのではないか、と感じる瞬間が増えてきました。

たとえばスーパーに行くと、若い人たちが半額シールのお惣菜に群がっている光景をよく目にします。これは20年前から見られた風景でもありますが、近年はその背景が大きく変わったと思います。

単純に「節約好き」というよりも、そもそも自炊コストが上がりすぎています。8月の桃は1個500円、秋の梨も400円、ちょっとしたイオンの刺身盛り合わせも2,000円と、数年前と比べて明らかに高騰しました。卵に至っては1パック150円から340円へ。かつては「毎朝の卵焼き」だったものが、いまや小さな贅沢になりつつあります。

刺し身10切れで税込1922円。確かに本マグロなど高級魚入りとはいえ、イオンモールで毎日並ぶ商品がこの価格。半額になってようやく961円

業務スーパーを利用する人は確かに増えましたが、それでも20代や30代の若い人が牛肉を買う姿は滅多に見かけません。日常生活の中で「じわじわと苦しい」という実感が強まっているのに、ニュースでは「日本株が史上最高値」と報じられている。この乖離に、どうしても違和感を覚えます。


アメリカの失業率とFRBのコントロール

一方でアメリカを見てみると、直近で失業率が4.3%に上昇しました。
4年ぶりの高水準で「リセッション入りか?」という声もあります。しかし、これはFRBがインフレを抑えるために意図的に行っている政策の一環とも言えます。

米雇用者数、2.2万人増にとどまる-失業率は2021年以来の高水準

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-05/

FRBは金利を引き上げ、長期金利を5%近くにまで上昇させました。狙いは需要が過熱して物価が上がる「ディマンドプル型インフレ」を冷やし、インフレ率を2%程度に戻すこと。その副作用として失業率が上がるのは、ある意味で「想定内」です。

しかもFRBにはまだ切り札がたくさん残されています。利下げカード、大規模な国債購入、あるいは「利下げするかもしれない」と口にするだけで市場を動かすフォワードガイダンス。
実際に「利下げ示唆で市場を落ち着かせて、直後に見送る」といった駆け引きも繰り返しています。つまりアメリカ経済は、危機的というよりも「調整の段階」にあるわけです。


日本の金融政策の制約

それに対して日本はどうでしょうか。

国債残高は膨大で、利上げをすれば利払いが急増して財政を直撃します。住宅ローンや中小企業の借入金利も上がり、一気に景気を冷やすリスクが高いため、安易に金利を引き上げられません。

しかし、円安が進み、輸入コスト上昇による「コストプッシュ型インフレ」は進行中。国民生活はますます圧迫されるのに、日銀には有効な手札が見えません。本来であれば利上げや賃上げで対応したいところですが、過去に大規模な金融緩和やETF・国債の大量購入を行った“後遺症”のせいで、日銀の自由度は著しく制限されています。

駅の直結スーパー

アメリカが数年前に通過した「利上げの痛み」を、日本はこれから経験しなければならない。しかも財政構造的により厳しい局面で。こう考えると、現状はかなり苦しいステージに入っているのだと思います。


株価上昇の性質の違い

株価の上昇についても、アメリカと日本では性質がまったく異なります。

アメリカ株は確かにPBRの高さを懸念する声はあるものの、人口増加や企業の利益成長、そしてFRBの政策余地といった「裏付け」が存在します。つまり資金流入があっても、それを支える成長要因があるわけです。

一方、日本株の上昇は主に円安による輸出企業の利益押し上げ、そして海外投資家の資金流入によるものです。国内では人口減少、内需縮小、実質賃金の低下といった構造的な課題を抱えたまま。つまり「構造的な成長力に支えられた株高」ではなく、「一時的な環境要因による株高」という危うさを秘めています。

日本の株価上昇の背景として、「弱い円による輸出企業の追い風」「AI/半導体など技術バブル的な期待」「新しい政策・政治の動きへの期待」など、輸出と外需、テクノロジー、為替が牽引している点を挙げています。これが実体経済(内需・賃金・生活物価)とのギャップを示している

Japan’s market surge is still gaining speed — here’s what’s driving it higher

短期的には円安メリットで業績を伸ばす企業があるにせよ、長期的に持続するのか?と問われると、正直かなり疑問が残ります。


生活実感と株価のギャップ

こうして並べてみると、アメリカは「まだ調整可能な市場」であり、日本は「手札を使い果たして出口が見えない市場」という対比になります。

ニュースを見れば日本株は好調、メディアでは「日本企業の再評価」などポジティブな言葉が踊っています。しかし、スーパーで卵の値段にため息をつき、牛肉を手に取る若者を見かけなくなった現実を考えると、この株高を素直に喜べるかといえば疑問です。

結局のところ、私たちが日々感じている生活実感と、株価チャートが描く「最高値更新」の風景は、まるで別の国の話のように乖離してしまっている。だからこそ、今の日本株の高騰には慎重な目線が必要だと思います。

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