大量マイル配布の裏側──ANAマイルで海外特典航空券が取れなくなった理由

旅行・海外事情
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ANAマイルを使った海外旅行は、かつて「知る人ぞ知る、最強のコスパ旅」として人気を集めてきました。クレジットカードや日常の支払いでコツコツ貯め、特典航空券でビジネスクラスに乗る──そんな“夢のような体験”を手軽に叶えられるのがANAマイルの大きな魅力でした。

しかしここ数年、その状況が静かに、そして確実に変わりつつあります。マイルを貯める手段が増えた一方で、肝心の特典航空券は年々取りにくくなり、特に人気のヨーロッパ行きビジネスクラスは「一年先でも空席ゼロ」が当たり前になりつつあります。

では一体なぜこんなことが起きているのでしょうか。その背景を知るために、まずは今話題になっている“超お得”なキャンペーンから見ていきます。

大型キャンペーンは一見とても魅力的

最近、ANAマイルをめぐるキャンペーンが一段と派手になってきています。特に注目されているのが、ソニー銀行とANAが組んだ最大40,000マイルプレゼントキャンペーンです。

https://www.ana.co.jp/ja/jp/mycampaign/2512_anasbw/

ソニー銀行で口座を開設し、ANAマイレージクラブと連携したSony Bank WALLETを発行し、国内ショッピングを20万円以上利用し、さらに100万円以上の外貨定期預金(一ヶ月)を満期まで保有すると最大40,000マイルを獲得できます。

還元率が二桁に達するケースもあり、数字だけ見ると非常に魅力的に感じるでしょう。

本命の“国際線特典航空券”は年々取りづらくなっている

キャンペーンは魅力的でも、肝心のANAマイルの価値である国際線特典航空券が、ここ数年で急激に取りづらくなりました。特にヨーロッパ行きのビジネスクラスは深刻で、予約開始日の朝九時に解禁された瞬間に埋まり、一年先のカレンダーを見てもほとんど空きがありません。

ANAの直行便の特典ビジネスは、もはや“幻”と言ってよいほどです。私自身も何度か挑戦しましたが、カップル二名分を同日に確保できる場面は一度もありませんでした。

特典として開放されるビジネスクラス席は一席か二席程度で、世界中の陸マイラーがそのわずかな枠を狙い、BOTや自動ツールによる争奪戦も起きています。

https://www.ana.co.jp/ja/us/amc/international-flight-awards/

更に2024年4月18日の改定で必要マイル数が大幅に変更されました。
C=ビジネスクラス、Fがファーストクラスです。

スターアライアンス他社便も“空いているが現実的ではない”

ANA直行便が絶望的ならスターアライアンス他社を利用する方法もありますが、これも期待通りにはいきません。

トルコ航空は比較的空席が見つかるものの、乗り継ぎが十時間以上という現実的でない日程が多く、実際に使いやすい旅程は月に一、二回あるかどうかです。

中国系航空会社は枠が多いように見えますが、サービス品質や運航の安定性を考えると、ビジネスクラスだから快適という期待とはかけ離れています。

空席はあっても、希望する時間帯で快適に目的地に行ける便はほとんど存在しません。

マイル大量配布の裏側で、座席供給とのバランスが完全崩壊

では、なぜここまで特典航空券が取りづらくなったのでしょうか。
理由は単純で、ANAがマイルを配りすぎているためです。

今回のソニー銀行キャンペーンをはじめ、クレジットカードの入会特典、銀行・証券との連携、ANAショッピングやANA Payの高還元など、ANAマイルは以前よりはるかに貯めやすくなりました。

SNSでも「マイルでビジネスクラスに乗れた」といった情報が拡散し、マイルを貯める人は年々増えています。

しかし、どれだけマイル保有者が増えても、特典として開放される座席は増えません。むしろ機材は小型化が進み、座席供給は昔よりタイトになっています。

結果として需要だけが膨らみ、実質的に特典航空券は“ほぼ入手不可”の状態になりました。

今のANAマイルは貯めやすいが、使うのは非常に難しい

ソニー銀行のキャンペーンは短期的には確かに魅力的です。
ただし、その先にある目的である国際線特典航空券がここまで取りづらくなった現状を考えると、安易に“お得だから”とおすすめするのは難しいと感じます。

特にカップルや家族で二席以上を並びで確保するのは現実的ではなく、理想的な旅程をマイルで予約できる可能性は大きく下がっています。

マイルを貯めること自体は楽しいものですが、「マイルを貯めればビジネスクラスでヨーロッパ旅行ができる」というかつての常識は、今の時代では成立しなくなりつつあります。

マイルが自分の旅行スタイルと本当に合っているのか、一度冷静に考える必要がある時代に入ったと感じています。

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