ニュースの第一印象はどこから来るのか
さて、先日のトランプ政権による南米ベネズエラへの軍事作戦で、「マドゥロ大統領を拘束した」というニュースについて、皆さんはどのような感覚を持たれたでしょうか。
ロイター通信経由で日本の報道機関が配信した記事のタイトルには「ベネズエラ軍事作戦、支持3割 多数が過度な関与懸念=調査」とありました。
この見出しを一瞬見ただけで、「賛成は3割しかおらず、7割が反対しているのだろう」と感じた人も多いのではないでしょうか。しかし、それこそがメディアの見出しが生む典型的なイメージ誘導なのです。
実際の数字を見ると全く違う構図が見える
実際のロイター/イプソス調査の中身を見ると、軍事作戦を支持している人は33%、反対している人は約34%で、ほぼ拮抗しています。
残りの約30%は「わからない」「どちらとも言えない」「回答しない」といった中立的な立場です。つまり現実は「3割対3割で割れ、残りの3割が判断を留保している」という状態なのです。
この数字を正直に反映するなら、本来のタイトルは「ベネズエラ軍事作戦、支持と不支持が拮抗」とする方が実態に近いはずです。
そう書けば、読者は支持派も反対派もほぼ同数で、判断が割れている状況だと一瞬で理解できます。
「72%が懸念」という言葉のトリック
ところが実際の見出しでは「支持は3割にとどまる一方、72%が過度な関与を懸念」と続きます。
ここで使われている「72%」は、「戦争や軍事介入に不安を感じますか」という問いへの答えに近いものです。これは作戦を支持しているかどうかとは本来別の次元の話であり、誰であっても軍事行動に不安を覚えるのは自然なことです。
にもかかわらず、それを「支持3割」と並べて提示することで、あたかも7割以上がこの作戦そのものに否定的であるかのような印象を作り出しています。数字は正しくても、並べ方次第で意味が歪む典型例です。
党派別データを見るとさらに構図は変わる
さらにロイターの別のデータを見ると、共和党支持者の65%が今回の軍事作戦を支持している一方で、民主党支持者では支持は約11%にとどまっています。
言い換えれば、トランプ政権の支持層の過半数がこの作戦を支持し、バイデン政権を支持してきた層の大半が反対しているという、典型的な政党対立の構図なのです。
これを踏まえると、「国民の大多数が反対している」という単純な図式は成り立ちません。それにもかかわらず、見出しだけを見ると、あたかもトランプ政権の決定が広範な国民の総意から外れているかのように見えてしまいます。
WASHINGTON, Jan 5 (Reuters) – One in three Americans approves of the U.S. military strike on Venezuela that toppled the country’s president and 72% worry the U.S. will become too involved in the South American country, according to a Reuters/Ipsos poll that concluded on Monday.
The two-day poll showed 65% of Republicans back the military operation ordered by Republican President Donald Trump, compared to 11% of Democrats and 23% of independents.
Souce:https://www.reuters.com/world/americas/only-33-americans-approve-us-strike-venezuela-reutersipsos-poll-finds-2026-01-05/
こうした例から分かるのは、ロイターのように比較的中立とされる通信社であっても、見出しや数字の並べ方によって読者の印象をかなり誘導できてしまうという事実です。
だからこそ私は、ニュースはそのまま正面から信じるのではなく、少し斜めから眺め、本当に何が書かれているのか、どの数字がどう使われているのかを確認する必要があると思っています。


