あの頃のiPhoneは本当に“3日持った”
iPhone 17シリーズが登場した今になって、ふと思い出すことがあります。
それは、「幻の省電力感」 とも言える体験です。
最近のiPhoneは、Proモデルを選んでもバッテリーの持ちが劇的に改善したとは感じにくくなりました。私は iPhone 12 Pro Max 以降、毎年新しいモデルへと買い替えてきましたが、振り返るとあのときの感動を超えることはありません。特に、発売直後の iPhone 12 Pro Max 初期モデルと比べると、現在のバッテリー持ちはどうしても見劣りしてしまうのです。
なぜ当時あれほど長持ちしたのか、少し調べて整理してみました。きっかけは、発売当日に名古屋の Apple Store で手に入れた iPhone 12 Pro Max です。あのときはまずカメラ性能の進化に驚かされ、さらにどのアプリも驚くほどサクサクと動きました。にもかかわらず、何時間もネットサーフィンやSNS通話を続けても、バッテリーは まるで減らない。
実際、バッテリーは3日ほど持ちました。夜に充電せずに寝ても、2日目の夜、あるいは3日目の朝にようやく「そろそろ充電しないと」と思う程度だったのです。
そのとき私は「これからのiPhoneは本当にすごい。毎日充電する時代は終わり、2〜3日に一度で済むのだ」と信じ込み、あの体験が強烈に記憶へと刻み込まれました。
iOSアップデートが奪った“余裕”
しかし、その喜びも長くは続きませんでした。
ほどなくして新しいiOSが公開され、「さらに進化するのだろう」と期待を込めてアップデートを実行しました。当時の私は情報に疎いわけではなく、むしろ最新のPro Maxを使っている以上、メジャーアップデートを入れておけば数年は快適に使えるはずだと信じていたのです。
ところが、iOS 14.1からiOS 15に切り替えた瞬間、バッテリーの持ちは半分以下になり、本体は常に熱を帯びるようになってしまいました。重たい作業をしているわけでもなく、軽いネットサーフィン程度でも発熱が起こる。その異常さに強い戸惑いを覚えました。「すぐに改善されるだろう」と待ちましたが、iOS 16になっても状況は変わらず、発熱は続いたままでした。
1年ほど経った頃、我慢できずにバッテリーを交換しましたが、それでも改善は見られませんでした。そこからは「次のiPhoneこそ、かつてのように3日間持つはずだ」と信じ、新しいPro Maxを毎年追いかけました。しかし結局、あの“3日間バッテリーが持つ奇跡”は二度と訪れることはありませんでした。振り返ってみれば、それはほんの一瞬だけ許された幻の体験だったのです。
なぜ12 Pro Max初期だけが特別だったのか?
なぜ当時の初期の iPhone 12 Pro Max があれほど軽快に動いていたのか。その答えの核心には A14 Bionic の存在があります。発売時点で A14 は最新のCPUでしたが、当時の iOS やアプリはまだ A14 の性能をフルに活用する設計にはなっていませんでした。結果としてアプリの負荷は軽く、常に CPU に余裕がある状態が続き、それが快適さと驚異的な省電力性を生み出していたのです。
イメージするなら、最高時速300kmのスポーツカーを高速道路で120kmで走らせているようなもの。エンジンに余裕があるためストレスがかからず、むしろ燃費まで良くなる――まさにあの頃の iPhone はそんな「余裕の走り」を体現していました。

しかし、時代が進むにつれて状況は変わります。アップデートを重ねるごとに OS やアプリは複雑化し、処理負荷は増大。さらに iPhone 13 以降では 120Hz ProMotion、常時表示ディスプレイ、センサー類の常時稼働、バックグラウンド処理の高度化 といった機能が次々と搭載されました。これらはユーザー体験を豊かにする一方で、CPUに常時大きな負担をかけることになり、かつての“余裕ある運転”は消えてしまったのです。
その結果、バッテリーの持ちも「2〜3日に一度充電」から「毎日充電」へと逆戻り。最新機種であっても、あの幻のような省電力体験は二度と再現されなくなってしまいました。
記録が証明する「幻」ではない事実
あまりに今の状況に慣れてしまったせいで、私は一時期「当時の体験は自分の記憶違いだったのではないか」「思い込みにすぎなかったのではないか」と疑うこともありました。ところが実際に調べてみると、2020年11月前後の海外レビューやユーザー投稿には、はっきりとした証言が数多く残っていました。
英紙 The Guardian の公式レビュー(2020年11月26日):
**「48時間以上のバッテリー」「5Gを約5時間使っても、7時に満充電→翌々日の7時まで保った」**と明記。実使用で“2日超え”をはっきり書いています。
MacRumorsフォーラム(発売週のスレ、2020年11月15日):
「土曜朝100%→日曜午後44%、自分の使い方なら余裕で2日いける」「金曜夕方満充電→日曜朝48%。1日で使い切るのは難しい」など、初期ユーザーの実体験が複数。
ラボ条件で2日+1時間(約49時間)という総合スタミナ評価。体感に近い“2日超え”を裏付けるデータです。
参考:メディアのベンチマーク
Tom’s Guide の連続Web(5G)テストでは10時間53分。これは“連続操作時”の数字で、待受や軽め運用を混ぜた実使用では日数が伸び得ることの比較材料になります。
TidBITSフォーラムの個人報告(2020年11月19日):
待受中心で5日で10%まで、音楽中心で**約2日(状況により3日も)**とする投稿も。待受寄りのユースで極端に伸びる例です。
要するに発売初期の iPhone 12 Pro Max は、レビュー/ユーザー報告の双方で「2日以上もつ」という声が実際に複数あり、私の体験は珍説ではなく当時の実使用でも十分観測されていたものでした。後年のiOS更新や機能追加で消費電力が増え、同じ端末でも体感が変わっていった――という流れは、コミュニティやレビューの記録からも読み取れます。
まとめ —— いつか“省電力の復活”を願って
iPhone 12 Pro Max の体験は決して幻覚や思い込みではありませんでした。確かに一瞬だけ存在した「2日以上持つiPhone」。
最新の iPhone 17 は素晴らしい進化を遂げています。しかし私のようにゲームや動画編集をしないユーザーにとっては、あのシンプルで静かな“長持ち体験”こそが、真の快適さだったのかもしれません。
Appleが再び「スペック控えめでも3日間電池が持つiPhone」を出してくれることを、今も心から願っています。


