急激な円安で遠ざかるヨーロッパ旅行
ヨーロッパ旅行が、かつてよりはるかに遠いものになってしまいました。
最後に私がヨーロッパに滞在したのは2023年の秋で、あれからもう2年が経ちます。
当時のユーロは160円ほどで、その時点でも旅行をためらうほどの高さでした。しかし、あのときに旅行として行っておいて良かったと思います。なぜなら、その前年は140円台だったからです。たった一年で10〜20%も値上がりする状況は、当時からすでに異例でした。
そして2025年11月現在、ユーロはついに180円に到達しました。
正確には179.34円ですが、実際に現地でクレジットカード決済をすると海外事務手数料が上乗せされ、請求額は約186円ほどになります。
これは最も条件の良いカードでの計算で、空港や現地の両替所を利用すれば1ユーロ200円超えはもはや確実です。

2017〜2020年頃まで、ユーロは120〜130円ほどで推移していました。
コロナ後の数年間で、為替と物価は急激に変化し、現在のヨーロッパ旅行は「費用が体感的に2倍近くになった」と言っても大げさではありません。
ユーロ高とインフレがダブルで直撃する現実
ヨーロッパ全体でも2020年以降はインフレが進行し、食品、外食、燃料、インフラコストなどあらゆるものが値上がりしました。そこに円安が重なることで、日本人旅行者にとっての負担は想像以上に大きくなっています。
たとえば、タクシーの運転手に渡す2ユーロのチップ。かつては200〜260円程度の感覚でしたが、今では400円近く、あるいは500円を差し出す感覚に変わっています。カフェでサンドイッチとコーヒーを注文すると10ユーロ。以前は1,000円ちょっとでしたが、今では2,000円近い支払いです。

日常の小さな支出が、旅行全体の費用感を大きく押し上げています。
本場のナポリピザが「高く感じる」時代へ
物価の上昇を強く実感したのが、ナポリのピザでした。

2014年に訪れたときは、どの店でも3〜4ユーロあれば本格的なナポリピザが食べられました。当時は500円程度で楽しめる贅沢でした。
しかし2023年に再び訪れたときには、ほとんどの店で5.5〜7ユーロが一般的な価格帯になっていました。実際、3人で訪れた際の会計は27.50ユーロで、最も安い炭酸水を頼んだだけのシンプルな構成です。それでも現在のレートで計算すると、約5200円。チップを加えれば6000円近くになり、一人当たりの負担は2000円前後です。

ナポリはローマよりも物価が安い都市ですが、それでもこの価格です。ローマやフィレンツェではさらに費用が上がるのは容易に想像できます。
レストランのグレードによる価格差
オステリアやリストランテといった一段上のレストランへ行くと、費用はさらに上昇します。しっかりとしたお店で前菜・メイン・ワインを注文すると、1人5000円から1万円はすぐに超えてきます。特別な夜を過ごそうとすると、それ以上になることも珍しくありません。

本格的なレストランで食事をすると、かなりしっかりした金額になります。
例えば前菜に「ローマ風アーティチョークとプンタレッレのアンチョビソース」(12ユーロ)を選び、パスタは「黄トマトとエビ、ピスタチオのフェットゥチーネ」(22ユーロ)、さらにメインとして「イタリア産ビーフの黒トリュフ添え」(28ユーロ)を頼んだとします。

これだけで合計は62ユーロで、2人なら124ユーロ。
ここにコペルトが1人5ユーロで合計10ユーロ、チップを20ユーロ。白ワインを1本入れると、現在のレートで1ユーロ180円換算で、軽く4万円を超えてしまいます。
こうした料理が出てくる、本格的なレストランでの夕食は、今のヨーロッパではこのくらいが標準的な価格帯だと感じます。

「本場の料理を楽しむ」という行為自体が、円安によって大きな出費を伴うものになってしまいました。
ホテル費用は完全に二極化している
宿泊費も大きな負担です。
Booking.comなどで評価4前後の宿を見てみると、1泊1万5000円〜2万円台の手頃な宿もありますが、3〜6万円の高級ラインも増えています。

110ユーロ程度のきれいな個人宿
ローマの宿は民泊型のB&Bが多く、これらは比較的リーズナブルで、サービスも良くて清潔な場所が多いです。2人で1泊2万円前後が一般的で、工夫すれば安く抑えることができます。ただし、マンション内でのチェックインが複雑だったり、入り口が分かりにくかったりと、土地勘がないと難しいところもあります。
一方、しっかりとしたレセプションを備えた高級ホテルは、1泊4〜6万円が標準的になっています。ヒルトンのようなブランドホテルは、2014年頃は3万円ほどで泊まれましたが、現在はその倍近くに上昇しています。
フランス・パリはさらに非情
今の話は主にイタリア、ローマやナポリの2023年頃の価格ですが、フランス、特にパリはその上を行く非情さがあります。観光地周辺の物価は信じられないほど高く、例えば写真にあるような500mlのオランジーナ。

日本のコンビニなら150円ほどですが、パリの駅の自動販売機では3.10ユーロ、つまり約600円します。さらに空港で買ったサンドイッチは、薄いチーズが挟まっただけの日本なら250円程度のものが6.5ユーロ、約1300円でした。

ジュース1本と簡素なサンドイッチだけで2000円。カップルなら4000円、家族4人なら朝食だけで1万円に近づいてしまう計算です。もちろん地元のスーパーやアジア系食料品店を探せば多少は安くなりますが、それでも劇的に安くなるわけではなく、半額まで下がるかどうかといったところです。
ディズニーランドの食事が安く感じるほど物価が高騰しているのがパリで、これも2年前の情報なので、今はさらに値上がりしている可能性があります。
一週間のヨーロッパ旅行(2人分のモデルケース)
では、実際に現実的な数字で一週間の旅行費用を見積もってみます。
現在の円安とヨーロッパの物価上昇を踏まえると、次のような費用感になります。
|
項目 |
金額(目安) |
|---|---|
|
宿泊(中級ホテル) |
約40万円 |
|
食費(外食中心) |
約14万円 |
|
交通費・雑費 |
約3万円 |
|
航空券・保険・空港往復 |
約40万円 |
|
合計 |
約97万円前後 |
この内容から分かるように、おおむね100万円前後 が現在のヨーロッパ旅行の「基本ライン」と言えるでしょう。これでも特別な買い物をせず、外食も一般的なレベルに抑えた場合の金額です。
もし買い物や芸術鑑賞、高級レストランでの食事、追加のアクティビティを加えると、その分だけ費用は簡単に上乗せされます。実際には、150〜200万円程度に達することもまったく珍しいことではありません。
円安と物価上昇が同時進行している今のヨーロッパ旅行は、費用のインパクトが非常に大きくなっています。
節約派なら50万円で可能だが、かなり上級者向け
もちろん、極限まで費用を抑える旅も不可能ではありません。
航空券を乗継便にして2人で30万円、安宿+自炊で1週間を20万円に抑えると、2人で50万円前後という「ミニマムなヨーロッパ旅行」もできます。
しかしこれは旅行慣れしている人向けで、現地での安全管理や移動の工夫が求められます。
円安時代の旅行スタイルを考える時期
ここまで費用が上がってしまうと、「もうヨーロッパ旅行には行けない」と感じる人も増えると思います。しかし、それでもヨーロッパには日本では得られない体験があります。街並み、建築、食文化、そして人との出会い。そのすべてが旅の価値です。
ユーロが今後もっと高くなる可能性もあり、イギリスポンドはすでに200円を超えました。タイミングを見計らうのが難しい時代だからこそ、今後は旅行スタイルそのものを柔軟に考える必要があるのかもしれません。
まとめ
現在のヨーロッパ旅行は、昔の感覚とは大きくかけ離れた費用が必要になります。
しかし、体験の価値は変わりません。費用を理解し、宿泊や食事を工夫することで、まだ旅は実現できます。
円安時代の旅行は確かに厳しいですが、それでも行きたいと思わせてくれる魅力がヨーロッパにはあります。旅行を計画している方は、参考にしていただければと思います。



