発売日に併せて540iツーリングに試乗する機会を頂いたので、最速レビューをしたいと思います。
外観とスタイリング
新型5シリーズ、確かにカッコいい。
ただし兄弟車たちと似すぎているのが正直な印象です。道端で「これって何シリーズ?」と聞かれても、「う〜ん、ちょっと待ってね。後ろのエンブレムを見れば分かるよ」と答えるしかない状況。
現状では、アウディとフォルクスワーゲンを足して割ったようなデザインに思えてしまいます。

「これだ!」と思ったのは、フォルクスワーゲンのパサート・ヴァリアントに似ているという点。
確かにスタイリングの方向性は重なる部分が多く、見間違える人がいても不思議ではありません。
……と、外観についてはすでに十分文句を言ってしまった気がするので(笑)、これ以上は多くを語らないことにします。
さて、次はインテリアについて。

はぁ〜可愛い内装とキュンキュンする例
内装が…すごくイイです…!
これまで私は「BMWの内装?んん?聞こえない!それより直6エンジンのサウンドが最高だよ」と思っていたのですが、新型540iツーリングのインテリアは素直に感心しました。
細めのウッドパネルにぐるりと包まれる感覚は、都会的でありながら自然な柔らかさを持ち合わせています。色調も抑えられていて、曲線の処理がとても滑らか。某国産高級車のように主張が強すぎない点が特に好印象です。
さらに、計器類やボタンが小ぶりでありながら、操作しやすい位置にしっかり配置されているのもポイント。使いやすさとデザイン性が両立しており、「これはイイ!」と素直に思える仕上がりになっています。

「うっわ!ナニコレ!宇宙船じゃん」と思うほど、青い光がギラギラと輝きます。
私は極度の保守派で、「インテリアに青色は絶対に許せない!」という宗派なので、最初は正直かなり嫌悪感を覚えました。
ところが設定を少し覗いてみると、どうやら簡単に色を変更できるらしい……?
これってまるでメルセデス・ベンツ Sクラスの機能では?と驚きました。
実際、BMWのアンビエントライトは以前まで暗いアンバー一択で、まるで歴史ある高級ホテルの照明のようでした。しかしさすがに時代の流れもあり、今ではカラフルに設定可能。組み合わせも豊富で、ホワイトは「まあいい」、オレンジやアンバー系は「おお、これは良い!」と納得でき、一件落着です。
ちなみに、サイケデリックな色合いも用意されているので、ピンク・フロイド好きのBMWオーナーでも満足できるはずです。

後部座席は中々に快適、と言われています。足元は218dの方が広く思えます。
座った質感は高いですし、走行性能と外観と内装に力を尽くしたという感じです。BMW乗りは後部座席について多くは語らない。

BMW 540i ツーリングの走行性能とパフォーマンスは!

新型3リッター直6「B58B30A」について
この540iに搭載されているのは、340iセダン/ツーリングにも採用されているB58系エンジン。正式にはB58B30Aという型式です。
スペックは排気量2997cc、最高出力326ps(5500〜6500rpm)、最大トルク450Nm(1380〜5000rpm)。数値だけを見れば、一世代前のスポーツカーを思わせる性能です。
先代3リッターターボとの違い
私が現在乗っている640iはN55系(N55B30A)で、スペックは似ています。しかしフィーリングはまったく別物。
540iのエンジンはとにかく滑らかで、低回転域からレッドゾーンまで途切れなく吹け上がります。その加速感はまるでロータリーエンジン以上に気持ちよく、直列6気筒でありながらかつてのV8にも劣らない高級感があります。さらに、少し甲高いサウンドは窓を開けて走りたくなるほど心地よいものです。
一方、N55は荒々しく“ゴリゴリ”と力強く加速するタイプ。さらに一つ前のN54はもっと激しく、純正の335i Mスポーツでも蹴飛ばされるようなジャジャ馬感覚がありました。同じ3リッターターボでも世代ごとに明確なキャラクターがあるのがBMWらしい点です。
ターボでも「心地よさ」を優先するBMW
BMWの素晴らしいところは、ターボ化しても常に**“ドライバーの心地よさ”を最優先している**点です。
2006年前後から自然吸気(NA)からターボへと移行し始めた当初は批判も多かったのですが、この540iに関しては、ターボらしさを感じさせない滑らかな加速とレスポンスに驚きを隠せません。
実際の走りの印象
540iは低速域から大型バイクのように気持ちよく加速し、6500回転でパワーのピークを迎えます。つまり7000回転のレッドゾーン直前が最も気持ちよいという、ドライバーを楽しませる演出になっています。
このフィーリングに加え、近年性能が飛躍的に向上したZF製8速ATとの組み合わせは見事で、現役のスポーツカーオーナーであっても十分満足できるはずです。
「ハイグリップタイヤとグローブ、ヘルメットさえあれば、今日にでも富士スピードウェイを走れてしまうワゴン」——それが新型540iツーリングの実力です。

xDriveなのにFRライク?
私は車についてかなりの保守派なので、少し前までは「BMWが四駆ねぇ(笑)」と懐疑的に思っていました。ところが、いざ乗ってみるとこれが非常に良い。
AWD(全輪駆動)といえば真っ先に思い浮かぶのはスバル。レガシィやインプレッサで感じた“全身を鎧で包まれたようなガチガチのハンドリング”が記憶に残っています。確かに速くて安全で山道にも強いのですが、FR(後輪駆動)特有のフロントの解放感は感じられませんでした。
しかし、この540iのxDriveはFRに乗っていると錯覚するほど自然な挙動を示します。山道でステアを切ると、曲がりたい方向にすっと素直についてきて、違和感がまるでありません。
ややハードに攻めても切れ込みは自然で、重量配分の妙もあってスポーツカーのようにグイグイ曲がる。接地感も高く、安心してアクセルを開けられます。ただし調子に乗ってM5気分で飛ばすと、さすがに大柄なボディが効いてきてリアが振られる場面も。とはいえ、そこまで踏み込めるだけでもワゴンとしては異例のスポーティさを持っています。
さらに、のんびり走りたいときや奥様が運転するときは「エコモード」にすれば、ステアリング応答性やアクセルの反応、サスペンションのダンピングがすべて穏やかになり、まるで別の車のようにマイルド。極端に言えばプリウス並みに柔らかいドライブフィールさえ味わえます。
先日試乗したM4だと「エコモード?ああ、そんなのあったっけ?とりあえずトラコン切っとこう」くらいのノリでしたが(笑)、540iは普段はジェントルに、時にシャキッと走りたいという人にとって最高のパートナーになりそうです。
xDriveは、速度やアクセル開度、ブレーキの状態、ステアリングの切り角、前後左右のG(加速度)など、ありとあらゆる情報を高精度センサーで常にモニター。 それらのデータを総合的に計算して、走行状態の先読みを行ないます。そして、スリップやスライドの兆候を感知すると、電子制御式多板 クラッチを用いて、エンジン出力やブレーキを制御し、瞬時に車両姿勢を安定。例えば高速コーナリング中であると判断したら4輪全体での駆動力を最大化するなど、車両が不安定な状況に陥る前にそれを打ち消し、気持ちのいい走りを助ける働きをします。(公式HPより引用)
ちなみに公式サイトを参照したところ、xDriveというのは速度やアクセル開閉、路面状況に併せて安定させてくれるシステムのようです。
このハンドリングと言い、内装の質感といい、最高過ぎて自宅に帰りたくないほどです。

iDriveはガラッと進化
従来モデルとは大きく変わり、タブレットのような直感的な操作感になりました。Bluetoothの設定なども分かりやすく、慣れてしまえば非常に快適です。
例えるなら、2007年式のiDriveが100点中10点なら、2017年式は80点は付けられる出来。キーワード入力がややしづらい点は残りますが、致命的ではありません。
また、一部の操作では7シリーズから採用された**「ジェスチャーコントロール」**にも対応。ナビに向かって指をくるくる回すと音量が変わるアレです。感度はまずまずですが、正直「いつ使うんだ!?」というのが感想です。
なぜなら、ステアリングにある音量上下ボタンの位置が絶妙で、親指ひとつで視線を逸らさず操作可能だからです。たとえ時速200kmで走行中でも、ボタンで即座に音量調整ができます。
オーディオとスピーカーの音質
思わず「きゃっ素敵♡」となるほど、音質の良さに驚かされます。Bluetooth接続でありながら、まるでCD音源のように立体感があり、しっかりとしたステレオ感を楽しめます。
音の傾向はややドンシャリ気味ですが、サウンド設定で低音と高音を少し抑えると、フラットで心地よい音に整えられます。標準状態では運転席がベストポジションになるように調整されており、お気に入りの曲をかけながら気分良くドライブできます。
一昔前のBMWのサウンドとは明らかに異なり、デジタルアンプらしい高解像度で音の分離が良く、シャキッとした音質。従来の曖昧さを感じさせない、現代的なオーディオ体験を提供してくれます。

荷物も詰めて旅に出たい1台
「わぁ広い!」と思わず声が出るほど、ラゲッジスペースは大容量。
家族持ちの方なら「奥様を説得する材料はこれしかないのでは?」と思えるほど実用的です。キャンプでも、3泊4日のロングドライブでも、問題なくこなせる収納力を備えています。
まさにこの540i Touringこそが**現代の“グランドツアラー”**と言えるでしょう。
18世紀の貴族が執事や使用人を連れて馬車で大旅行に出た、あの伝統を思わせます。使用人こそいませんが、着替えや荷物を積み込み、何千キロもの旅を快適にこなせる一台です。
もちろん世の中には“グランドツーリングカー”を名乗るクルマは数多くありますが、快適性・居住性・運動性能のバランスを考えると、540i Touringはトップクラスの完成度を誇ります。
ただし、価格もまたグランド。
ベース価格は ¥10,690,000(税込)、オプションを加えれば乗り出し価格はさらに大きく跳ね上がるでしょう。まさに貴族階級のクルマといった趣きです。
それでも予算が許すなら、ぜひ一度ディーラーで試乗してみてください。きっと「旅に出たい」と思わせてくれるはずです。
| 全長x全幅x全高(mm) | 4,950×1,870×1,500 |
| ホイールベース(mm) | 2,975 |
| ラゲージ・ルーム容量(リットル) | 570-1,700 |
| 定員(名) | 5 |
| 型式 | B58B30A |
| 種類 | 直列6気筒DOHCガソリン |
| 総排気量(cc) | 2,997 |
| 最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) | 250〔340〕/5,500 |
| 最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC)) | 450〔45.9〕/1,380-5,200 |
| 型式 | DBA-JB30 |
| 燃料消費率JC08モード (国土交通省審査値)(km/ℓ) |
11.9 |
| 駆動方式 | 4輪駆動 |



